大手銀行の紙の通帳の有料化で手数料いくら?放置している銀行口座で損をしないためにすべきこと

2022年4月から、三菱UFJ銀行の紙の通帳に手数料が新設されました。以前は銀行口座を開設すれば紙の通帳が無料でもらえるのが当たり前でした。しかし、同様の手数料はすでに大手銀行を中心に導入されていますので、今後は当たり前ではなくなります。

今回は、銀行の紙の通帳の話題から、ウェブ通帳への切り替え、使わなくなった口座に潜むリスクまで、銀行口座についてお話しします。


有料化が進む「紙の通帳」手数料はいくらかかる?

三菱UFJ銀行は、2022年4月1日に「紙通帳利用手数料」を新設しました。2022年4月1日以降に新たに開設された個人・法人の口座で紙の通帳を利用する場合、年間550円(以下金額はすべて税込)の手数料が課されます。

ただし、18歳未満または70歳以上の個人と、2022年3月31日以前に開設された普通預金口座については、この手数料の対象外になっています。

これまで無料だったサービスが有料になる、しかも2022年3月までに開設した場合は引き続き無料になる…というと、なんだか不公平なように感じられるかもしれません。しかし、大手銀行では同様の手数料が相次いで導入されています。

3大メガバンクの一角、みずほ銀行では、2021年1月18日以降に新たに開設された口座で紙の通帳を利用する場合、通帳発行・繰り越しごとに1冊1,100円の手数料がかかります(70歳以上の利用者は無料)。

また、三井住友銀行でも2021年4月1日以降に新たに開設された口座で紙の通帳を利用する場合、年間550円の手数料が引かれてしまいます(18歳未満または75歳以上は対象外)。

横浜銀行、千葉銀行、武蔵野銀行などの地銀でも通帳発行手数料の導入が進んでいます。

三菱UFJ銀行と三井住友銀行は年間で550円ですが、みずほ銀行の場合は通帳を繰り越すたびに1,100円かかります。利用回数が多く、何度も通帳を繰り越すほど不利になってしまうのです。

このような手数料が導入される背景には、銀行のコスト負担が大きいことにあります。紙の通帳には1口座あたり年間200円の印紙税に加え、印刷費や管理コストなどの経費がかかります。銀行の収益が減っている中でこれが業績を圧迫していることは明白です。また、環境への配慮の観点からペーパーレス化を図る側面もあります。三井住友銀行では紙の通帳の発行が年400万冊にのぼり、積み上げると富士山2個分を超えるそうです。

ウェブ通帳に切り替える3つのメリット

三菱UFJ銀行は「Eco通帳」、みずほ銀行は「みずほe-口座」、三井住友銀行は「Web通帳」。インターネットで見られるウェブ通帳を利用すれば、紙の通帳にかかる手数料を心配する必要がなくなります。今、紙の通帳を利用している人でも、申込みひとつでウェブ通帳に切り替えることができます。

そのうえ、ウェブ通帳には紙の通帳にはないメリットが大きく3つあります。

ウェブ通帳のメリット1:スマホやパソコンでいつでも取引が確認できる

紙の通帳では、銀行やATMで記帳しないと最新の取引を確認できません。その点、ウェブ明細ならばスマホやパソコンからいつでも取引を確認できます。三菱UFJ銀行とみずほ銀行では最長で過去10年間、三井住友銀行では過去30年間の取引明細を確認できます。もちろん記帳も不要ですから、わざわざ銀行やATMに足を運ぶ手間や時間をなくせます。

ウェブ通帳のメリット2:通帳の紛失や盗難の心配がなくなる

紙の通帳だと紛失や盗難の可能性もあります。しかし、ウェブ通帳ならばそもそも通帳自体がありませんので、紛失や盗難の心配がありません。また、紙の通帳を再発行するときには手数料がかかりますが、ウェブ通帳ならそもそも再発行も不要です。万が一、ウェブ通帳を利用するためのIDやパスワードを忘れた(なくした)としても、無料で再発行してもらえます。

ウェブ通帳のメリット3:紙の通帳にはない特典が受けられる場合も

ウェブ通帳の利用を条件に、手数料の優遇などの特典が受けられる場合もあります。たとえば三菱UFJ銀行「Eco通帳」の場合、「三菱UFJ銀行のATM時間外手数料が何回でも無料」「提携先コンビニATMの利用手数料が月1回無料」「三菱UFJダイレクトでの他行あて振込手数料が月1回無料」の特典が受けられます(スーパー普通預金(メインバンクプラス)の申し込みと三菱UFJダイレクトの利用が必要)。

すでにお話ししたとおり、各行の手数料有料化より前に口座開設をしているならば、紙の通帳を利用していても手数料はかかりません。しかし、今はそうでも今後どうなるかはわかりません。将来「すべての紙の通帳に手数料がかかる」といった変更がないとは限りません。なにより、ウェブ通帳は便利です。メリットを生かすためにも、今のうちに切り替えておくことをおすすめします。

銀行口座の放置に潜む3つのリスク

ここまで読んで、「ウェブ通帳に切り替えるなら、これを期に使う銀行口座を整理しよう」と思い立った人は、行動派でお金の貯まる人でしょう。しかし、使わなくなった銀行口座があったら放置せず、解約することをおすすめします。なぜなら、銀行口座の放置には4つのリスクがあるからです。

銀行口座の放置のリスク1:口座維持手数料がかかる可能性

銀行口座によっては、放置している口座に口座維持手数料がかかる場合があります。

たとえば、三菱UFJ銀行では、2年以上未利用の普通預金口座に対して年1,320円の手数料が課せられます(2021年7月1日以降開設された口座が対象)。みずほ銀行では口座維持手数料はかかりませんが、2021年以降、毎年1月末時点で1年以上記帳取引のない口座は、自動的に「みずほe-口座」に変更され、紙の通帳が利用できなくなります。

三井住友銀行では、2年以上入出金がない残高1万円未満の口座に年1,100円の手数料が対象口座から自動的に引き落とされます(2021年4月1日以降開設された口座が対象)。

さらに、りそな銀行では、2004年から未利用口座管理手数料が導入されています。2年以上入出金がなく、通知後も取引がなく、残高が1万円未満などの条件を満たす場合、年1,320円の手数料が引かれます。

銀行口座放置のリスク2:休眠預金になる可能性

休眠預金とは、10年間取引のない銀行預金のことです。2009年1月1日以降の取引から10年以上取引がない預金は休眠預金として扱われ、お金が公益事業などに活用される可能性があります。もっとも、仮に公益事業にお金が使われたとしても、銀行で手続きをすればお金を引き出すことができます。

しかし、金融庁によると、長い間取引のない預金の引き出しにはそうでないものと比べて時間がかかる、ATMではなく銀行の窓口で手続きをする必要が想定されるとのこと。できれば避けたい事態といえるでしょう。

銀行口座放置のリスク3:不正利用される可能性がある

2020年にも口座の不正利用事件があり、悪意のある第三者が不正に取得した銀行口座の情報を利用し、本人になりすましてお金をだましとっていました。サイバー攻撃などによって、銀行口座を持っているだけでも、不正利用されてしまう可能性があるのです。

昔は現金決済が主流だったので、現金を引き出すために店舗やATMの多さなど、銀行選びは利便性が重視されていました。今はキャッシュレス決済が主流で店舗数やATMの数は重要ではなくなり、ATMを利用するにしてもコンビニATMで事足ります。

そのコンビニATMの手数料が安いかどうか、預金金利が高いかどうか、他行振込の手数料が安いかどうかを考えると、ネット銀行を利用した方が断然良いといえます。

銀行口座の放置には、いいことがまったくありません。現在お持ちの口座を見直して、使う可能性がない口座についてはすべて解約しておきましょう。銀行口座は生活費用と貯蓄用の2つもあれば十分。今後も利用する口座がもしまだ紙の通帳なのであれば、ウェブ通帳に切り替えましょう。

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