少年野球用品がズラリと並ぶ専門店 リスク覚悟で大量に在庫を揃えるワケ

野球専門店「ベースマン」飯田橋店ジュニアフロア・春成浩一店長【写真:編集部】

ベースマンは「全ての野球用品が見つかる店」

野球用品専門店「ベースマン」は、全ての野球用品が見つかる店をうたっている。経営面のリスクがあっても、限られた人にしか需要がないと分かっていても、在庫を抱えるスタンスを変えていない。そこには、少年野球に込めた思いがあると飯田橋本店の店長は明かす。ただ、どんなに手を尽くしても、現在は半年待ちとなってしまう用品が2つだけある。

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野球用品専門店「ベースマン」飯田橋店にはグラブ2000種類、シューズ200種類の在庫がある。キャッチコピーは「全ての野球用品が見つかる店」。メーカーから発売されたばかりの商品からベースマンのオリジナル商品まで、品ぞろえに絶対の自信を持つ。

建物の2階は少年野球専用フロアとなっている。野球用品がびっしりと並び、常に在庫を切らさないようにしている。経営面を考えれば在庫を抱えるのはリスクがある。それでも、方針を変えない理由を春成浩一店長が明かす。

「子どもたちの悲しむ顔を見たくないんです。子どもは商品を買って帰れると思って来店しています。在庫がなくて1週間待てば商品が届くと言っても泣いてしまいます。そういう姿をできる限り少なくしたいと思っています」

子どもたちは、新しい野球用品を手にする楽しみを想像して来店する。大切なのは、今すぐに買えること。1週間でも、3日間でも待てないのだ。店内に、少年野球チームのユニホームや帽子がずらりと並ぶのも、子どもたちを悲しませたくない思いから。「チームに入ると決めてワクワクしているのに、自分のチームのユニホームが置いていなかったらがっかりします。店に来て、すぐにユニホームを着られると喜びます」。店では、近くにある10チーム以上のユニホームと帽子を扱っている。ユニホームの補修パッドに珍しい水色をそろえているのは、近隣にある1チームに対応するためだ。利益よりも優先すべき使命感を抱いている。

ミズノの「ダイバーシティブルーマーク」のグラブ(左)、ハタケヤマのキャッチャーミット(右)【写真:編集部】

ハタケヤマのミットとミズノの限定グラブは半年待ち

品ぞろえに絶対の自信を持つベースマン飯田橋店だが、半年待ちの商品が2つだけある。1つは大阪市に本社を置くメーカー「ハタケヤマ」のミット。横浜と中日で活躍した谷繁元信さんが愛用していたことで知られ、最近では昨年の東京五輪で日本代表の金メダル獲得に貢献したソフトバンク・甲斐拓也捕手が使用して注目が高まった。

オーダーするのは中学生以上。大量生産できないため半年かかると説明を受けても、ハタケヤマにこだわる選手が多いという。春成店長は「捕球した時の音が抜群です。ミットの張りや革も優れています。その分、最初はウンともスンとも動かないくらい硬いので、初心者が扱うのは難しいです」と特徴を説明する。

もう1つの商品はミズノが限定発売したグラブ。ダイバーシティブルーと名付けられた青いミズノのマークが入っている。昨年の東京五輪に向けてつくられたグラブで、日本代表が金メダルを獲得して人気に拍車がかかった。ツインズの前田健太投手が使っていることでも話題となった。

メーカーの生産が追い付かない事情はコントロールしようがない。だが、できる手は全て打つ。「全ての野球用品が見つかる店」へのこだわりは、子どもたちを悲しませたくない思いから生まれている。(間淳 / Jun Aida)

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