商品から選ぶのは間違っている?積立投資、資産配分と運用商品を決めるまでの手順とは

積立投資について「どの運用商品を買ったら良いのか」 という質問は、個別相談のなかでも最も多い質問のひとつです。近年では、運用商品が充実してきているため、選ぶのに悩んでしまうことでしょう。

この記事では、自分にあった積立投資が実践できるように運用商品、主に投資信託(投信)を選ぶまでのプロセスを解説します。


運用商品は最初に選ぶべきではない

運用商品には色々な種類があり、最初はよくわからないことがほとんどではないでしょうか。「この商品が買いたい」といって積立を始めるかたも決して少なくありませんが、知り合いや著名な専門家がオススメしていたり、テレビで紹介されていた、本を読んだなどが理由と推測します。

このまま運用を始めてしまうと、自分がどのようなリスクをとっているのか、将来どのように資産が成長していくのか、理解せずに続けていく可能性が高いです。

投信選びのために決めなければいけないことには、次のような順番があります。

<積立投資の流れ>
(1)毎月の積立額
(2)資産配分
(3)制度や口座
(4)金融機関
(5)運用商品

いざ運用を始めてから方針を修正・変更するのは大変です。この順番を守れると、自分で考えて運用商品を選ぶ力がつくため、応用も利きやすくなります。

資産配分(アセットアロケーション)を決める

手順の(2)資産配分と、(5)運用商品について補足します。

(2)の資産配分は「アセットアロケーション」とも呼ばれ、国・地域ごとの株式・債券など投資可能な資産(Asset:アセット)へ、どのような配分(Allocation:アロケーション)で投資をするか、いわば「お金の置き場所」を決めていく作業になります。「投資の成果は資産配分で8割決まる」といわれるくらい、最初に資産配分を決めておくことは重要です。これにより想定される年間リターンのシミュレーションができ、計画的な貯蓄につながりやすくなります。

投資対象としての資産は、預貯金・株式・債券などの資産の種類と、日本・先進国・新興国など、国や地域などの掛合せで考えます。そして一般的には次の図中の資産分類から投信を選んでいくことになります。企業経営でいえば、どの国に海外進出し、工場や物流倉庫など何の拠点をつくるか検討することに近いです。

<資産の種類>

商品を組み合わせる=ポートフォリオを組む

資産配分が決まり、優先的に活用していきたい制度や口座を決めていきます。一般的には、つみたてNISAやiDeCoなど、少額積立にマッチした優遇制度や口座を活用することが多いでしょう。

資産配分と制度・口座が決まったら、それらのサービス提供をしていて、かつ自分の生活スタイルや価値観にあった金融機関(証券会社や銀行など)を決めます。金融機関が決まれば、運用商品の候補が一定数まで絞り込めます。

ここまできて、どの商品が良いか具体的な投信を選んでいきます。買いたいと思った投信が、どの国や地域を投資対象としているのか、それぞれどこの種類に相当するのかを事前に把握しておきましょう。これが「ポートフォリオを組む」とよばれていることで、企業経営でいえば、海外拠点での組織編制や販売手法を決めて実行していくこと似ています。

資産形成の3大原則

投資にはリスクがありますが、資産形成の3大原則である「長期」「分散」「積立」を取り入れることで、リスクを減らすことができます。優遇制度を活用した少額積立投資を活用すると、3大原則のうち「長期」「積立」についてはその仕組み上、自動的に実践できるようになっています。あとは自分で「分散」を意識しながら実践していくだけです。

前述の手順で商品を選んでいくと、自分がどこに投資しているのか把握できるでしょう。商品や活用する制度・口座から決めるのではなく、資産配分(アセットアロケーション)から優先的に考えるクセをつけていってください。

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