「息子の死に報いたい」 海星高2自殺から5年 両親と兄、現場訪れ献花

男子生徒が亡くなった現場に献花し、手を合わせる家族=長崎市内

 長崎市の私立海星高2年の男子生徒=当時(16)=が自殺して20日で5年となった。両親と兄が同市本河内1丁目の自殺現場を訪れ献花。父親(54)は「人生で一番早く感じられた5年間だった。亡き息子の死に報いたい」と語った。
 生徒の自殺を巡っては、学校設置の第三者委員会が「いじめが主たる要因」と結論付けた報告書を2018年11月に作成したが、学校側は自殺といじめの因果関係を否定。報告書の受け取りを拒んでいる。
 両親は昨年11月、公・私立関係なく、いじめ防止の取り組み強化を求める要望書を県と県教委に提出。これに対し県は、公・私立両方の教頭らが参加する会議でいじめに関する法令やガイドラインについての研修を5月上旬に実施する予定で、全教員への内容の周知も求める。
 父親は「要望が一部認められ、息子の死が無駄ではなく生かされているように感じる。息子への良い報告になった」とうなずいた。
 母親(50)は、生徒が毎年「母の日」に贈ってくれたカーネーションを現場に手向け、3人で手を合わせた。生徒は生きていれば21歳で就活をする年齢。兄(23)は「スーツを着て就活をする同年代の子を見ると弟の分までがんばってほしいと思う」と話した。


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