五島列島酒造 “バラモン凧”ラベルの焼酎発売 朝ドラで「認知度高まれば」

自らラベルを手掛けた焼酎「五島バラモン」を手にする久保さん=五島市

 五島市三井楽町の五島列島酒造(三﨑清一郎社長)は、五島伝統のバラモン凧(だこ)をラベルにデザインした焼酎「五島バラモン」を発売した。同市池田町の酒店リカーズマルヒサ社長で、約40年前から趣味でバラモン凧の制作を続けている久保博司さん(74)が描いた。
 バラモン凧は、鬼に正面からかみつかれても力強く立ち向かう武者が描かれ、縁起物として男の子の初節句などに贈る風習がある。
 五島市出身の久保さんは県外から戻った1980年、父が親しんでいたバラモン凧作りを開始。2015年には、伝統を引き継いで普及を目指そうと、市内の愛好家と「五島バラモン凧揚げ振興会」(川口進会長)を立ち上げた。
 色付けに染料を使うのがこだわり。空に上がった際に日光を通すため、ポスターカラーよりも鮮明に色が浮かぶという。魅力は「鬼の迫力ある表情」と語り、生き生きとした目になるよう心掛けている。染料は和紙ににじみやすいため、他の色と混ざらないよう慎重に筆を入れる。
 久保さんの作品を見た取引業者の発案を受け、五島列島酒造が地元の伝統をPRしようと、ラベルに採用した。「五島麦」と「五島芋」の2種類を同店などで販売中。
 バラモン凧が空高く舞う姿に魅せられてきた久保さん。今秋から放送予定のNHK連続テレビ小説は、主人公がバラモン凧を見てパイロットを目指す物語。「県外でもバラモン凧の認知度が高まればうれしい」と話している。


© 株式会社長崎新聞社