子どもの性暴力被害防げ 実践的な教育の必要性を 長崎の女性グループ

「子どもへのSNS上の性暴力の実態を知ってもらいたい」と語る佐藤さん=長崎市内

 子どもへの交流サイト(SNS)上の性暴力の実態を追った、チェコのドキュメンタリー映画「SNS-少女たちの10日間」の上映会が5月14日、長崎市内で開かれる。同市の女性グループ「ながさきwomen’sラボ」の実行委主催。共同代表で臨床心理士の佐藤紀代子さん(47)は「現状を知ってもらい、子どもに危険をどう伝えていくか、話し合う機会に」と呼びかける。4月は若年層の性暴力被害予防月間。

 同映画は「12歳の少女」に扮(ふん)した女優3人がSNSで「友達」を募集したところ、性的な関係を求めるものを含め10日間で2458人の成人男性がアクセスしてきた実態を記録した。
 これはチェコに限った問題ではない。佐藤さんはスクールカウンセラーの経験もあり、学生から相談を受け、男性から送られてきた性的なメッセージを目にしたことがあるという。「子どもの気持ちを巧みに利用し、思い通りにしようとする加害者の手口がはっきりと分かる映画。まずは子どもと関わる仕事に携わる大人に見てもらいたい」と強調する。
 県警によると、県内で昨1年間に摘発されたSNS利用に絡んだ事件で、中高生など未成年の被害者は13人(前年比3人増)いた。内容はネットを介し自らの裸の画像を送ってしまったり、実際に会って性的な被害に遭ったり。誘拐事件もあった。県警は「画像やアカウントを消すなどして特定に至らないケースも多い。事件化されたのは氷山の一角」と警鐘を鳴らす。
 佐藤さんはSNSの普及で「ネット上で知り合った人に悩みを打ち明ける文化が定着している」と指摘。「親にも相談できない悩みに優しく対応して信頼させ『会おうか』と持ちかけてくる。被害に遭っているという自覚がない子どももいる」と問題提起する。
 「ネットを介し裸の写真を送らない」「見た目だけで良い人か悪い人かは判断できない」。こうした知識を子どもたちに知ってもらうため、実践的な教育の必要性を訴えている。
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 上映会は5月14日午後1時半から長崎市興善町の市立図書館多目的ホール。長崎市の市民団体「長崎性教育コミュニティ アスター」の中山安彩美共同代表と、大村市のNPO法人「schoot(スクート)」の内海博文代表を招いたトークセッションもある。15歳未満入場不可。当日受付で入場料1500円。定員60人。問い合わせはメールで「ながさきwomen’sラボ」(nagasaki.womens.lab@gmail.com)へ。


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