景気「持ち直し鈍化」維持 3~4月 観光4カ月ぶり引き上げ 日銀長崎支店

 日銀長崎支店は21日、3~4月の県内金融経済概況を発表した。新型コロナウイルス感染拡大の影響で、景気全体は「持ち直しのペースが鈍化した状況が続いている」と、3カ月連続で判断を維持した。
 3月にまん延防止等重点措置が解除され、景気を押し上げる動きはみられたが、昨年9月の重点措置解除後と比較すると「改善の動きが鈍い」として上方修正を見送った。鴛海健起(おしうみたけゆき)支店長は「解除後も感染者数が高止まりしているのを受け、県民の外出、飲食、旅行意欲に慎重さが根強く残っている」と分析した。
 観光は「依然として低い水準ながらも改善している」と4カ月ぶりに判断を引き上げた。個人消費は飲食を中心に「持ち直しのペースが鈍化した状況」と判断を据え置いた。
 一方で公共投資は高水準で推移。設備投資も大型案件の寄与で増加している。雇用・所得は、有効求人数の増加など改善の動きに広がりがみられるが、雇用者所得は依然動きが弱い。
 先行きについて、鴛海支店長は「感染状況が和らげば、観光や飲食の持ち直しが早まり、9月の西九州新幹線開業にも上押し効果が期待できる」との見方を示した。ただ、エネルギー価格・原材料コスト上昇、半導体などの供給不足、ウクライナ情勢など感染症以外のリスク要因を挙げ「企業の投資意欲や家計の消費動向に悪影響を及ぼすリスクに注意する必要がある」と述べた。


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