「掛金はいくらが適正?」iDeCoを始める時によくある4つの質問

未来の自分に向けた仕送りのために活用したいのが、節税しながら自分年金を創る仕組み「iDeCo」です。預金だけではダメな時代、資産形成は一日でも早く取り組むのが吉といえるでしょう。

国の制度であるiDeCoは金融機関を通じて申込みますが、気を付けたいポイントがいくつかあります。

今回はiDeCoについて、よくある質問を解説していきます。


金融機関はどこでもいいの?

iDeCoを始めるには、まず金融機関に専用の口座開設をする必要があります。この金融機関を運営管理機関と呼び、銀行や証券会社や保険会社などがあり、それぞれ「プラン」が異なります。プランとは、選べる運用商品のパッケージと、口座の維持コストの設定を指します。iDeCoは運用で資産を成長させる仕組みですから、ラインアップされた運用商品の良し悪しはお金の成長に直接かかわりますし、コストは利益から差し引かれるものですから、できるだけ安いプランを探したいところです。

iDeCoの運営管理機関はあとでも変更できますが、タイムロスが生じたり、変更にあたりコストがかかったりするので、最初の選択は重要です。従っていきなり近場の金融機関に出向くのではなく、事前に「運営管理機関 比較」などといったキーワードでリサーチをしてみましょう。

iDeCoは、金融機関の窓口で運用の説明や不明点のフォローをするようなサービスはあまり期待できません。ほとんどがコールセンターやウェブサイトでの情報提供にとどまるので、サイトの使いやすさ、分かり易さもチェックポイントです。

運営管理機関のウェブサイトでは、取り揃えた運用商品の選定理由も開示されています。また運用商品選びの参考になるように、商品の比較が容易にできるツールがあったり、AIが商品選びなどをサポートしてくれる「ロボアド」が利用できたりするところもあります。

事業主証明書ってどうしたらいいの?

運営管理機関が決まったら、申し込みの手続きに入ります。この際、基礎年金番号などといった耳慣れない言葉があったりして、書類作成に戸惑う方も少なくありません。そんな場合でも、書類作成の見本や言葉の意味なども丁寧に説明されているので、気持ちに余裕を持って取り組みましょう。

会社員の場合、「事業主証明書」を会社に提出し証明をもらったうえで、その情報を元に自分の書類を完成させなければならないので、併せて心づもりをしておきましょう。

事業主証明書には、企業年金の有無を記載する欄があります。この情報により、iDeCoの掛金上限額が決まります。企業年金の情報は自分で把握していなくとも、事業主証明書に企業年金の加入状況の確認というフロー図がついているので、会社にお任せします。会社の窓口は、人事部や総務部となっているケースが多いです。

会社員の場合はiDeCoの掛金を自分の口座からの引き落としにするのか、会社で給与天引きをしてもらうのか、ふたつの選択肢があります。これも会社に確認します。もし給与天引きとなると毎月の給与で税金の調整が行われるので、年末調整での手続きは不要です。また控除証明書も発行されませんので、併せて覚えておきましょう。

会社にDB(確定給付企業年金)がある場合、現在のiDeCoの掛金上限額は12,000円ですが、2022年10月より、20,000円まで上限が引きあがります。しかし会社によっては2024年12月以降、iDeCoの掛金が出せなくなる人が出てきます。DBは、企業型DCと異なり一人一人に掛金が設定されておらず、会社として「仮想」掛金というものが設定されています。従ってこの金額が高い場合、iDeCoの加入が継続できないケースもあり得るので、DBが手厚い方は会社に問い合わせしておきましょう。

運用商品の初期設定は?

iDeCoは自分で毎月どんな運用商品を買い付けするのか「配分指定」をする必要があります。実際、運用商品は何種類でも選ぶことが可能で、あとから変更もできます。

仮に運用商品の設定をしないと、運営管理機関ごとに決めた「指定運用方法」により運用が開始されます。指定運用方法という言葉を聞くと、イメージがしにくいですが、金融機関があらかじめ決めた運用商品の買い付けに掛金が自動的に回るという意味です。

指定運用方法は、元本確保型の定期預金というところもありますし、投資信託という運営管理機関もあります。結果として、その商品で良いという方なら問題ないのかも知れませんが、そこに至るまでの猶予期間については、掛金は運用されずキャッシュでおかれるので、やはりこれも適切に手続きしたいところです。

掛金額はいくらが適正?

iDeCoの掛金は最低5,000円から1,000円単位でそれぞれの上限額までの範囲で自由に決められます。この額は年に1回変更もできるので、まずは無理のない金額で始め、慣れてきたら金額を上げるというのも良いでしょう。ただし、あくまでも老後の生活設計の一部であることを念頭に、いくらぐらいの資産を作りたいのか目標を見失わないように、安易な金額設定で終始することないよう注意が必要です。

また年末調整や確定申告で還付されたお金は、その使い方にも意識を向けましょう。せっかくiDeCoの税制優遇を受けても、そのまま生活費に消えてしまうというケースも少なくありません。これでは「未来の自分に向けた仕送り」にはならないので、還付される金額を翌年のiDeCoの掛金に上乗せをするなどの工夫も大切です。

iDeCoは原則60歳まで掛金を拠出し続けますが、長い人生の中で掛金拠出が難しくなることもあるかも知れません。その場合は、積立をお休みする「運用指図者」に変更し掛金をゼロとすることも可能です。ただし、iDeCoの受け取り時のメリットである、退職所得控除に運用指図者の期間は含まれないため、できれば掛金をゼロとせず最低掛金額への変更を選ぶ方が無難です。そもそも月5,000円の掛金ということは、1日にあたり170円程度の負担です。それが積立てられないということは、iDeCoの問題というより生活そのものに問題が生じている可能性があるのですから、そこをすり替えず問題解決に取り組むべきです。

専門家のサポートを活用する

iDeCoに加入したいと思ったけれど、資料請求をしたら言葉が難しかったり、なにやら面倒に感じてしまい、そのまま頓挫したという残念な言葉もよく耳にします。また加入してからも、運用のメンテナンスなど、本当はやった方が良いにも関わらず、手つかずという方も少なくありません。これでは、せっかくのiDeCoも宝の持ち腐れですので、ファイナンシャルプランナーなど専門家に相談するというオプションも検討してみましょう。

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