日本助産学会が3月下旬にオンライン開催した第36回学術集会の「学生ポスター発表」で、長崎大大学院生が学内で生理用品を配布した取り組みを発表し、同学会賞に輝いた。経済的理由などで生理用品の入手が難しい「生理の貧困」の解消に向けた活動で、国連が定める持続可能な開発目標(SDGs)にも合致していると評価された。
活動に取り組んだのは、同大学院医歯薬学総合研究科助産師養成コースと同大保健学科の学生7人。同集会の学生交流の一環として、同コースを今春卒業した石上眞衣さん(24)らが活動内容を報告。
7人は県内で生理用品の無料配布などに取り組んできたボランティア団体「『生理の貧困』対策プロジェクト・ながさき」に参加。昨年10月から、同学科の女子トイレの個室に自由に使用できる生理用ナプキンを配置。週数回の補充を行いながら少しずつ提供場所を増やした。温かみのある箱を使ったり、複数の大きさのナプキンを用意したりなど、他の学生の意見を取り入れながら多くの人が手に取りやすいように工夫。3月までに約千個配布した。
新型コロナウイルス禍の中で大学院に入学し、実習などでアルバイトが満足にできない経験をした石上さんは「誰にも言えずに困っている学生がいるのではと思い活動を始めた。生理の貧困について知ってもらえた意味でも受賞は大きい」と笑顔。同コース2年の志波菜津子さん(23)は「活動を長く続けるために、賛同してくれる人のつながりを広げたい」と話した。
現在、同大の他のキャンパスでも配布に向けた準備が進んでいる。