急な予定でもすぐ加入できる?1日だけの自動車保険、使い方とメリット・デメリット

ゴールデンウィークを前に、帰省や旅行の計画をしている人もいるでしょう。

コロナ禍で「密を避けて移動はクルマで」という話をよく聞きます。レンタカーやカーシェアリングを使うのも一案ですが、少しでも費用を抑えるために、友人や家族のクルマを借りる選択もあります。

「普段はクルマを使わないので、借りる1日だけ保険をかけたい」そんなニーズに合わせた手軽な保険が損害保険会社各社で販売されているのをご存じでしょうか。


1日だけの自動車保険とは?

知人のクルマを借りて運転。知人は自動車保険に加入しているものの、もし借りている最中に事故を起こしてその保険を使ったら、次回から知人の保険料が高くなってしまい、迷惑をかけてしまいます。借りている間だけ、自分で保険料を負担し、万一の事故の際には貸してくれた方に迷惑をかけたくないーーそんな声から生まれたのがこの保険です。

相手に対する補償は、通常の自動車保険と同じで、他人にケガをさせてしまった場合の補償である「対人補償」や、他人のものの損害に対する補償である「対物補償」は無制限、つまり賠償で支払われる保険金の上限がありません。いくつか選択できるプランがありますが、対人・対物無制限はいずれのプランも必須補償です。乗っている人のケガの補償は、搭乗者傷害保険や人身傷害保険などで補償されます。

車両の損害補償は、プランによって有無が分かれ、補償の算出方法が一般的な自動車保険と少し異なります。一般的な自動車保険では、年式や車種によって車両金額を設定していきますが、1日だけの保険は車両の復旧費用として、保険金額を一律にしています。そのため、実際の復旧費用を下回るケースもありますが、万一、借りたクルマを壊してしまった際の負担を考えれば、補償があるプランを選んだほうがいいですね。

ロードサービスや緊急時のサービスも大事なところです。レジャーで遠出をされるケースなど、初めての土地での事故は、サポートデスクが頼りです。24時間365日トラブルに対応してくれるのかや、クルマが使えなくなった時に帰宅費用を支払ってくれるのかなど、サービス内容をしっかり確認しておきましょう。

基本的なプランでは1日800円程度、複数名の登録や車両保険付帯で3,000円程度の保険料です。1日の保険を複数回使用することで、本来の自動車保険に加入する時、割引になる特典がある保険会社もあります。コンビニ・スマホ・PCから手軽に加入できることも魅力です。

契約が完了すればその時点で補償が開始されるので、すぐに乗りたい時にも十分間に合います。例外は車両補償をつけるケースです。この場合は、申込から7日以内は補償開始日を選べません。旅行の計画が決まったら、早めに準備しましょう。

複数名の登録も可能、対象となる自動車には制限

遠出をされる場合、一人で運転というのは負担が多いもの。休憩をしながらも複数名で運転すれば、負担も減ります。一人ですべて運転した方が楽だ、という方もおられますが、急に体調を崩すことも考えられます。複数名の登録で保険料は若干高くなりますが、登録者以外の方が運転している時に事故が起これば、補償は一切ききません。運転の可能性のある方を、申込の時点で登録しておくことをおすすめします。

保険の対象となる自動車に、制限はあるのでしょうか?多くの保険会社では、記名被保険者(主に車を運転される方)または、その方の配偶者が所有する自動車は対象外となっています。さらに、記名被保険者が役員となっている法人が所有する自動車も対象外です。

クルマを所有しているが、お子さんが県外へ旅立たれ使わなくなり、保険をかけずに眠らせている方を時折見かけます。久しぶりに旅行に使ってみようと1日だけの保険をかけようとしても、このようなクルマは対象外になるということです。

対象外は、本人または配偶者の所有に限られているので、お子さんが同居別居に限らず、親御さんのクルマを運転することは問題ありません。詳しくは加入する保険会社に確認してみましょう。

実家のクルマは実家の自動車保険を活用

久しぶりに実家に帰省して親御さんのクルマを借りてドライブも、1日だけの保険は可能です。ですが、親御さんの自動車保険でもお子さんの運転が対象になる場合がありますので、まずは確認してみましょう。

例えば、運転者限定特約を適用している場合、運転される方を記名被保険者だけに限定する「本人限定」と、本人と本人の配偶者に限定する「本人配偶者限定」にしているケースがあります。この限定をつけていると、別居のお子さんが帰省して運転しようとしても対象外となってしまいます。1日だけ運転するのでしたら、1日だけの保険をかけた方が安いでしょう。1週間ほど滞在中に毎日運転するようでしたら、運転者限定をその間外し、追加保険料を払う方が安くなることもあります。事前に比較してみましょう。

また、運転者の年齢条件をつけているケースもあります。これは、同居の親族のみが対象となります。進学や就職で別居されている場合、運転する別居のお子さんが20歳の場合、例えば年齢条件が35歳以上でも、このお子さんは保険の対象になります。前述の運転者限定がついていなければ、変更しなくても問題ありません。

自動車保険は加入していれば安心というわけではありません。ご自身に必要な補償は何か、運転する人は誰かを吟味したうえで、上手に保険を活用しましょう。

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