スポーツの後味の悪さ

 先月、プロ野球のロッテ-オリックス戦で起きた“事件”は、依然としてネットを中心に賛否が渦巻いている。球審を務めた白井一行審判員が、今をときめくロッテの佐々木朗希投手の態度に憤慨してマウンドに詰め寄った一件▲「白井は大人げない」「いや朗希の態度が悪い」-。解説者らの意見もあふれている。でも、と一度立ち止まって考えてみる。どちらかが正しいという決着があるのだろうかと▲すべての競技にはルールがある。それを熟知して、試合をスムーズに進めるために審判がいる。人の判断に絶対はないが、そこに不公平や私情は1ミリも存在してはならない▲選手もルールを守る。判定への不満が募ることもあるが、それを態度に出し続けていたら、試合進行の妨げにもなる▲今回のようなケースは運動記者として何度か見てきた。そうなると、応援している県勢が勝っても負けても、やはり後味が悪い。試合後の双方への拍手さえ、忘れてしまったこともある▲約1カ月後、1万人以上が参加する県高総体が開幕する。現3年生はコロナ禍の中で入学し、多くの大会中止や練習自粛に苦しんできた世代。ぜひ、最後の県高総体ぐらい気持ち良く駆け抜けてもらいたい。審判も、選手も、そして観客も、後味の悪さだけは残さないようにして。(城)

 


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