元日本代表MF橋本英郎の"三刀流"「選手兼コーチ兼ビジネスマン」の生活とは

今シーズン、関西サッカーリーグ1部のおこしやす京都ACに加入した42歳の元日本代表MF橋本英郎。地域リーグで「選手兼ヘッドコーチ」として新しいステップを踏んだ。

サッカー選手の傍らで複数の会社も経営しており、42歳で迎えた今季はなんと「3つのわらじ」を同時に履くこととなった。

今回はそんなおこしやす京都ACの橋本英郎さんにインタビューし、今季の状況やこれからのビジョンについて伺ってみた。(取材:カゴノブアキ)

【動画】橋本英郎さんに練習場で直撃してみた

――コーチ就任から数ヶ月が経ちました。新しい生活はどうですか?

まだ慣れていないですね。結構苦労していますね。

――他の媒体で「選手:コーチ:ビジネス」の比率について話していましたが、それについては変わってきましたか?

今はその中で「選手」の比率を自分の中で高くしたいんですけど、コーチの比率がすごく上がっていますね。そこを調整しなければいけないなと。

――今日の練習を見ても、コミュニケーションを取りながら試行錯誤されていましたね。コーチとして難しいところ、うまく行っているところは?

まだうまく行った感じはないんですが、難しさとしては「自分がイメージしているものを、伝わる形でどのように伝えるか」というのがありますね。

自分が思ったことを話していても、相手が理解していなければ伝わっていないのと同じですから。

――おこしやす京都ACはガーナ出身のムスタファ監督が率いていますね。そのコミュニケーションはどうですか?

監督とも通訳を入れて話すことが多いですし、日本語で話をするときも少しのワードしか使えないところもあります。そのあたりも難しさは感じていますね。

――3つのわらじに加えて初めてのコーチ。すごい挑戦に向かっていますね。

まあ、それを楽しむためにここに来ているところもありますからね(笑)。

――おこしやす京都ACはここまで公式戦を3試合行いました。リーグで1勝1敗、天皇杯予選で1敗(PK負け)でした。加入する前のイメージとは違いましたか?

もともとイメージは全く無かったんです。レベル感もわかりませんでした。開幕戦の相手は2部から1部に昇格してきたチーム(FC AWJ戦。4-0で勝利)でしたしね。

第2節も同じような相手(守山侍2000)だったので、同じようなレベルかなと思ったら、結果的には1勝1敗になってしまった(1-2で敗北)。そして天皇杯予選では大学生を相手に負けてしまった(同志社大学に1-1、PK戦で敗退)。

自分たちの実力がどのあたりなのかということを「ちゃんと見極めなければならないな」というのが、この序盤で感じているところです。

――関西サッカーリーグは14試合の短期決戦。これからチームに何をプラスしていこうと思いますか?

まずは、自分たちが自信を持ってできるプレースタイル、プレーモデルのところ。そこはもうちょっと構築したいなと思っています。

そのあたりが整ってくれば、連戦の中でもある程度ブレずに戦えるんじゃないかと思います。そこは監督とも話をしながら進めています。

――もし勝ち進めば、全国社会人サッカー選手権大会と地域サッカーチャンピオンズリーグが待っています。前者は5日で最大5試合、後者は予選が3日で3試合、決勝が5日で3試合と非常にイレギュラーな大会ですね。

去年までFC今治にいたので、経験していた選手からその大変さは聞いています。その独特の雰囲気や楽しさというのも教えてもらいました。

正直、そこまで上がっていければ僕は「楽しみだな」と思っています。

――次は、橋本英郎さんの次のビジョンを聞きたいと思います。42歳になりましたが、引退がちらつくことはありました?

いや、もうずっとちらついていますね。35歳を過ぎてからはずっと頭の片隅にありながらプレーしています。

――コーチして、選手して、ビジネスまで…寝られてますか?

あんまり寝られてないんです(笑)。その辺はちょっと、時間配分だったり、間の取り方だったり、周りとの連携だったり、もっと考えていかないとなと。

特に、今までは選手をやりながら自分の会社で動いていたところに、さらにコーチ業が新しく加わったことで、難しさがより一段と進んだなという感じがありますね。

――他の人のことも考えなければいけないですからね。TwitterではJリーグの場面を解説したりもされていますが、解説者としても活動したい思いは?

考えていますね。解説者だけになることはないと思うんですけど、そういう仕事もやっていきたいと思います。

そこからサッカーの試合を見る機会が増えるので、コーチとして学ぶことも非常に多いのかなと。

――橋本さんの今後がとても楽しみになってきました!ちなみになんですが、古巣でもあるガンバ大阪はどう見ていますか?

片野坂知宏監督になって、やろうとしていることをトライしている時期だと思うんですよね。

うまく表現できない試合もあるし、出来ている試合もある。そのような変化はどんどん生まれてきていいます。あとは選手に合わせて形を多少なり変える、そういうところも見えていています。

ですので、僕は結構楽しみだなという部分が多いですね。

――コーチとして働いてみて、やはり時間がかかることは体感しています?

時間はかかるんですが、しかしそれをどうやってかからないようにできるのかなと、すごく悩んでいますね。

――突然雨が降ってきたので(笑)最後にメッセージを。

僕たちは関西社会人サッカーリーグというところで戦っているんですが、無料で見ることもできますので、ぜひご観戦いただければと思います。

おこしやす京都ACがどんなサッカーをするのかは、スタジアムで見ていただけたら嬉しいです。よろしくお願いします!

――ありがとうございました!

現在おこしやす京都ACは関西サッカーリーグ1部で1勝1敗。ただ、各チームがそれぞれ2試合を終えて連勝のチームも連敗のチームもなく、1位が勝点4、最下位が勝点1、それ以外の6チームが勝点3で並ぶという混戦模様だ。

橋本英郎選手兼ヘッドコーチがどんなプレーをするのか、そしてどんな指導をしているのか、ぜひスタジアムで目の当たりにして欲しい。

おこしやす京都ACの次の試合は5月15日、京都の宇治市にある山城総合運動公園、通称「太陽が丘陸上競技場」で行われるレイジェンド滋賀FC戦だ。お近くの方はぜひお越しを。

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