平和よ“同心円状”に広がれ シャッターに絵画描く 長崎県被爆者手帳友の会

絵に込めた思いを語る西岡さん(左)。被爆者らがこの後、「長崎の鐘」を鳴らす人たちに色を塗り完成させた=長崎市、ヒバクシャ・コミュニティ・センター

 長崎県被爆者手帳友の会(朝長万左男会長)が、長崎市松山町の爆心地公園に隣接する「ヒバクシャ・コミュニティ・センター」のシャッターに、世界平和を願う絵画作品を完成させた。市内在住のアーティスト2人が協力。人々が国籍や年齢に関係なく集い、平和への思いを“同心円状”を発信する拠点にしたいとの願いが込められている。
 同センターは昨年9月、友の会が開設した。事務局を置くほか、交流拠点として被爆者や一般市民にも開放し、被爆証言講話や学習会を企画している。
 シャッター(高さ2.5メートル、幅3.15メートル)は歩道に面しているが、元々は無地で殺風景だった。同会は「訪れた人が元気になる明るいイメージにしたい」と、アーティストの松尾眞一郎さん(71)、漫画家の西岡由香さん(57)に創作を依頼した。
 松尾さんは爆心地から500メートルに位置する市立城山小卒業生で、10年ほど前から平和への思いを即興で描くアートに取り組んでいる。シャッター中央の絵を担当。青く大きな円の周りにさまざまな図形を配置した抽象的な作品で、松尾さんは「『心と命の尊厳』が作品のベース。この場所から『平和』が同心円状に世界へ広がっていくイメージで描いた」と語る。

シャッターの絵に色を塗り、作品を完成させる被爆者ら

 西岡さんは「長崎の鐘」につながるロープを引く人々の姿をデザイン。友の会に所属する被爆者らから要望を受け「国籍や人種に関係なく、平和を願って鐘を鳴らしているイメージにした」と話す。
 鐘を鳴らす人の絵は一部が白抜きのまま、9日にお披露目された。集まった同会の被爆者や被爆2世ら約10人が、絵筆で色を塗り最後の仕上げを施した。被爆者の三田村静子副会長(80)は「塗りながら笑顔が出た。平和のメッセージが被爆地から世界に届き、ウクライナの戦争も早く終わってほしい」と願った。


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