長崎県内公立校 体罰減少も「憂慮」 2021年度、懲戒処分5人 県教委

県内公立学校の体罰の実態把握調査

 長崎県教委は12日、2021年度に県内の公立小中高で体罰を受けた児童生徒は46人で前年度より6人少なかったと明らかにした。このうち3人が打撲や口内出血などの負傷をした。一方、体罰をした教職員は20人で10人減ったが、前年度はゼロだった懲戒処分者が5人となった。
 同日の定例教育委員会で報告した。懲戒処分を受けた5人のうち3人は過去にも体罰などで指導され、別の1人は1年間で指導を2回受けた。ある中学教諭は生徒がいじめをしたと思い込み、頬や頭をたたいたり、足元を払い倒したりして停職2カ月となった。
 体罰数は減ったが、県教委高校教育課は「ゼロにするのが望ましい。憂慮している」とする。県教委は22年度から懲戒処分の基準を一部改正。体罰や不適切な指導で処分を受けた教職員が再び対象となった場合、前回以上の厳罰で臨むことにした。
 体罰を受けたのは中学生が最も多く27人。高校生13人、小学生6人と続いた。行為は「素手でたたく」が9件、「棒などでたたく」「たたくおよび蹴るなど」がそれぞれ1件、不適切な発言など「その他」が11件。状況は「授業中」が10件で最多だった。
 把握のきっかけは児童生徒や保護者の訴えが13件。教職員の申告は6件にとどまり、現場の認識の甘さをうかがわせた。
 県教委は22年度から「体罰によらない指導」を促すため、教職員に具体策を人事評価票に記入させ、校長面談で状況や成果を確認するようにした。委員からは「(再発防止のため義務付けた)研修を受けても、なかなか改善できない教職員を医療につなぐことも必要ではないか」との意見が挙がった。


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