長崎ヴェルカ 優勝・昇格の原動力 外国人トリオ「兄弟のような存在だった」 ジェフ・ギブス(41)、マット・ボンズ(26)、ハビエル・カーター(30)

ヴェルカのB3優勝に貢献した(左から)ハビエル・カーター、マット・ボンズ、ジェフ・ギブス

 バスケットボール男子のBリーグ3部(B3)2021~22シーズンで優勝と来季の2部(B2)昇格を決めた長崎ヴェルカ。45勝3敗と圧倒的なシーズンを送る上で欠かせなかったのがフォワードのジェフ・ギブス(41)、マット・ボンズ(26)、センターのハビエル・カーター(30)の外国人トリオ。「コートの外では冗談を言い合い、兄弟のような存在だった」と口をそろえる3人は、攻守両面でヴェルカの躍進を支えてきた。
 Bリーグ全体で唯一、1試合平均100得点を超えたチームの中で、3人で約半分の平均48得点を記録。シュート成功率は全員が6割を超え、スチール、リバウンド、ブロックショットを含め、試合のあらゆる場面で仕事をしてきた。
 ヴェルカの持ち味になった「ハードに、アグレッシブに」を最初に体現したのが、B1で優勝経験を持つ“長男”のギブスだった。
 シーズン開幕前の昨年9月、初の全体練習。ルーズボールを拾おうと床へ頭から飛び込む「ダイブ」を真っ先に披露した。チーム最年長が見せた積極的な姿勢。伊藤拓摩監督はそのプレーが忘れられない。「彼が練習の質を一気に高め、それが水準になった」。本人も「41歳の選手ができるんだから、みんなもできるよと若い選手たちに伝えたかった」と教えてくれた。
 テンポの速い攻守のシステムに最も順応したのがボンズ。リバウンドからの速攻は強力で、1試合平均21得点はチーム最多だった。昨年11月の第6節岡山戦では44得点を記録。107-97と接戦を勝ちきる原動力になった。
 そのエースがスタッフ陣と一緒に取り組んだのが「スピードをいかにコントロールできるか」だった。結果、シーズン序盤のプレーは「ただ速い」という印象もあったが、後半はドライブに緩急が加わり、アシストも徐々に増加。3月19日の第24節品川戦では35得点、17リバウンド、11アシストのトリプルダブルも達成した。「コーチたちが本当に助けてくれたし、練習の成果が報われた」。今季の最優秀選手賞(MVP)を獲得し、自身の成長を実感できたシーズンになった。
 203センチとチーム最長身のカーターは「一番声を出すリーダーとして、守備でチームを後押しすることを心がけてきた」。Bリーグ全体で2番目に平均身長が低かったヴェルカの中で、唯一のセンタープレーヤーは「(ゴール下の仕事は)精神的に大変だとは感じなかった。この特別なチームの柱の一つになれたのは光栄なこと」と穏やかにシーズンを振り返った。
 11日に自由契約選手リスト入りが決まったが、長崎のファンに対して「ヴェルカの成功の物語を記す手助けをしてくれてありがとう。ヴェルカは皆さんの人生に楽しみと情熱を提供し続けてくれるクラブ」と感謝の言葉を残した。


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