「100年の歴史とこれからの100年を…」マツダミュージアム今月リニューアルオープン 歴史飾る名車から未来のクルマまで

1994年の開館以来、176万人が訪れたミュージアム。マツダ100周年となる2020年に向けて全面改装されていましたが、コロナ禍のために延期されていました。その間、展示を見直すなどさらなるブラッシュアップの末、いよいよ5月下旬、公開されます。

10のゾーンが作られて、展示内容も一新されています。
エントランス ブランドスタイルを表現したホールと最新のマツダ車
ゾーン1 1920年~1959年:モノ造り精神の原点
ゾーン2・3・5・6・7 1960年~:総合自動車メーカーとしての歩み
ゾーン4 モータースポーツ:企業と技術の威信をかけた世界への挑戦
ゾーン8 技術展示:人を第一に考えるマツダのモノ造り
ゾーン9 生産ライン見学
ゾーン10 次の100年に向けたマツダのビジョン

何といってもゾーン9の生産ライン見学はミュージアムの真骨頂。ここは以前とほとんど変わらず、側面から組み立ての様子を見学できます。

マツダブランドの発信拠点としての役割が期待されている新たなミュージアム。インターネット上にオンラインミュージアムも開設され、足を運ばなくても体感できる仕掛けも用意されました。

小林康秀キャスター
「マツダミュージアムです。新しくなりました。非常に洗練された空間となっています。マツダの新型車がご覧のように5台並べられているが、今回のマツダミュージアムがどんな展示内容となっているのか。駆け足ですけれども、紹介したいと思います」

こちらがマツダ創立期の様々な展示が置かれています。マツダが所有する最も古3輪トラック、これは1935年製です。

RCC

三菱のマークがマツダのロゴの所についていますが、当時のマツダには販売網がなかったので、三菱商事に販売してもらっていました。そのためこのようなロゴのデザインになっています。

バタンコこの愛称で知られる、3輪トラックも置かれています。

このゾーンもヒストリックカーがずらっと並んでいます。最初に目に飛び込んできたのはこちらR360クーペです。『夢の車を手の届く存在』にというコンセプトで、2人乗りの車です。かわいらしいデザイン。内装が全て赤になっています。天井も。すぐ目の前で見る事が出来ます。

横にあるのはキャロル600ですね。さらにファミリアなどもあります。

そしてコスモスポーツです。伝説の名車とも言われる車です。帰ってきたウルトラマンの中でも使用されていましたし、エヴァンゲリオンシリーズなどでも採用されていたという憧れのこのデザインと、そしてやっぱりロータリーエンジンが載っているという当時の先進性、マツダ技術が詰め込まれた車がこちらに置かれているということです。

そしてサバンナGT、コスモAP、サバンナRX7も置かれています。

以前よりも置かれている台数が全体で14台増えているそうです。

カペラ、ロードスター、ユーノスコスモ、アンフィニRX7もあります。

さらにマツダの787B…、ルマン24時間耐久レースでの走り抜き頂点に立った、優勝したあの名車です。まるでピット内のような雰囲気に包まれながら置かれている…この雰囲気がまた味わえるのもいいですよね。

そしてラリーカーです。サバンナRX7に、こちらはファミリアも置かれているということです。

小林康秀キャスター
「今回のリニューアルに当たってこの会場内、どんなところの作り込みに苦労されましたか?」

佐藤貴哉 マツダ総務部 マツダミュージアム担当
「まずヒストリーを伝える上で、車を展示しているが、車だけを見て欲しいんじゃなくて、このクルマを作ったのかっていう背景をきちんと知ってもらいたいというのを大事にしていて、会場の柱などにどんな時代だったかを書いている。もちろん車を見てもらいたい。そして説明も見てもらいたい。その調和をデザインと一緒に考えながら、見せ方など苦労しました。」

小林康秀キャスター
「どんな皆さんに来てもらいたいですか?」

佐藤貴哉 マツダ総務部 マツダミュージアム担当
「こういう人ですと絞りきれないが、本当に子供たちや、大人でマツダが好きな人好きじゃない人、車が好きあるいは車に詳しくないとか、いろいろな人がいるが、それぞれの人の楽しみ方をしていただければと思っていて、車に興味がない人も楽しんでもらえるような展示にしているので、もしマツダミュージアムに行こうよと知人と家族から誘われたら、ちょっと行ってみようかなって、来てもらったら絶対楽しめる博物館になっている。すぐそばで、間近に車を見られる。車を柵で囲ってある博物館があると思うが、ここは距離感は大切にしたいなと思っていて、柵を設けていない。いろんな角度から車を見れるような展示にしています。」

ここは新しい未来を感じさせる展示が行われていますが、今まで置かれていなかったコンセプトカーが3台置かれています。

毛籠勝弘 マツダ取締役専務執行役員
「マツダミュージアムは、本物の車やエンジンといった展示を通じて、ファンの皆様、広島に観光に来られたお客様にマツダや、広島のもの作りを知っていただくとともに、小学生を対象としました自動車産業学習の支援を行う施設として1994年にオープンをいたしました。展示コーナーと、工場見学コースが同じ施設内にあるミュージアムは、マツダミュージアムだけで、マツダの歴史やクルマ作りに込めた思いを、展示物を通して感じていただきます。また、実際の生産現場を間近でご覧いただけます。

ご覧いただいたお客様から大変ご好評をいただいています。オープン以降、来館者数は年間でおよそ7万人。累計では176万人もの幅広い年齢層の方々に国内外からお越しをいただいております」

「これまで多くの方から愛されてきましたミュージアムですが、リニューアルオープンをするにあたり、その意義、あるいは役割を再定義し、二つのコンセプトを掲げ、新たなスタートを切りたいと考えております。

一つ目は、お客様や地域の皆様との大切な出会い。双方向の交流の場として、その絆を育んでいく。二つ目はマツダのDNAやブランドを発信する基地となる。そのために過去100年の歴史そして次の100年に向けた思いや活動を、ストーリー性を持って開発からマツダのもの作りまでの一連の流れを感じていただける施設といたしました」

「さらに、オンラインマツダミュージアムも新たに備えて、より多くの方にご覧いただけるようになりました。今後も地域の皆様をはじめ、世界中から広島にお越しになる全ての皆様に生まれ変わったミュージアムを楽しんでいただき、マツダの車作り、その可能性について感じていただけると幸いです」

前田育男 マツダ デザイン本部シニアフェローブランドデザイン
「一番のこだわりはストーリー性です。マツダがこれまで
培った100年の歴史や商品。技術に込めたもの作りへの思いなどマツダの挑戦の歩みをエピソードと実写を合わせて1本のストーリーとして感じていただきたいという思いで設計をした。

もう一つのこだわりは、空間表現の作り込みです。展示は10のゾーンで構成していますが、少々複雑な空間の特徴を生かして、時代、領域に合わせてレイアウト、色合い、照明など、エリアごとの世界観に取り組みました。同時につなぎの部分を大事にして、結果は一つの物語として完成する空間構成としています。これはマツダのすべてのデザインメンバーで企画演出を行った作品です。

特徴的なゾーンを説明します。

玄関はまわりの色を暗めに抑えた。少し秘密基地っぽいワクワクしてもらえる場所とした。そしてマツダの新世代店舗やモーターショーブースと同様、最新のブランドサイズに合わせたインテリア。車が綺麗に見える照明、温かみを感じさせる素材で構成し、マツダの世界に皆さんを暖かくお迎えする空間とした」

「いよいよツアーが始まります。我々がタイムトンネルと呼んでいる渡り廊下を通ってマツダの創業時に戻ってもらいます。歴史の幕あけを感じさせる静かで落ち着いた空間で、『工業で世界に貢献する』という創業者の真剣な決意。我々の『もの作りの原点』を感じていただく。

次に、マツダのクルマ作りの夜明けを感じてもらえる明るい空間へ移動します。マツダの車づくりの聡明期から弧を描くように順を追って、各時代を代表し、新たな価値作りに挑戦し続けたエポックメイキングのプロダクトたちをお見せします。

そしてその空間の最後に現れるのはモータースポーツのコーナー。マツダのもの作りスピリットの象徴ともいえる飽くなき挑戦の歴史で、モータースポーツを通じてその独自の技術で世界と戦ったクルマたちをご紹介します」

「次のコーナーは、最新技術をお見せする場所です。研究ラボを彷彿とさせる、白を基調としたクリーンでシンプルな空間としました。車作り対するエンジニアの創意と工夫、その独創性を感じてもらいたいと思います」

「そして(アッセンブリーライン)組み立て工場の見学。これは他のミュージアムにはないユニークな特徴だと思います。実際の物作りの現場を、臨場感を持って目にすることができるエリアですし、車好きにはたまらない場所です。

最後はデザイン中心の未来展示のコーナーです。過去の展示にはなかった新しいコーナーで、我々が今回とても力を入れたところにあります。左脳から右脳に意識を変えて、落ち着いた空間の中で、匠の手で作り込まれたデザインの美しさ、その先にある未来を感じてもらいたい。

最後に一貫したストーリー作りという点でこだわったその他2点」

「 一つがスタッフのユニフォーム、もう一つはグッズショップです。グッズショップは自然に財布の紐が緩む、魅力のある場所になっていれば、成功です」

「ミュージアム全体の注力ポイントについて説明した。時代領域を超えたマツダの飽くなき挑戦の精神を、このミュージアムを通じて感じていただければ幸いです」

ミュージアムの一般公開は5月23日から。5月16日から予約受付を開始するということです。

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