〈県知事選〉立候補者の横顔 新潟、県政思いは

 12日に告示された県知事選に立候補している2氏は、投開票日の29日に向けて連日、県内各地を回って支持拡大に努めている。2期目の当選を目指す現職・花角英世氏(64)と、脱原発系市民団体会長で会社役員の新人・片桐奈保美氏(72)の舌戦が日増しにヒートアップする中で、両候補の県政への思い、人となり、趣味など「主張、横顔」を紹介する。

◇新潟を知った4年 花角 英世氏
 平成30年に初当選し、「住んでよし、訪れてよしの新潟県」に向けて県政運営を進めてきた。この1期4年間を「思うように自分の時間がつくれない。(知事は)責任感が大きく、笑っていられる時間があまりない」と、苦笑いしながら振り返る。

 一方で、「随分、新潟のことを知ることができた」4年間でもあったという。「県内中、県境に近いところにお邪魔する機会も増えた」。各地域の雰囲気を肌で感じ、住民たちと接してきた実感を込め、言葉を紡ぎ出す。
 座右の銘に上げたのは、新潟市出身で文人、歌人として知られる会津八一の「日々新面目あるべし」。自身を鼓舞する際にかみしめる格言だという。
 国家公務員時代を思い起こしながら、「あのまま霞ケ関にいたらどんな姿になっていただろうか、とはあまり考えない」。引き続き県政のリーダーとして、ふるさと新潟の発展に寄与する決意を新たにする。
 物欲に乏しく、今最も欲しいものは「自分の時間」。趣味はまち歩きで、「この4年間、思うようにできていない。あまり観光地と思われないような場所を、ぶらぶら歩きたい」と話す。
 好きな食べ物はカレーとラーメン。二つを合わせたカレーラーメンは「もちろん好きだが、どちらかというとカレーはカレー、ラーメンはラーメンで食べる方」。ネクタイ選びは「自分で選ぶので、趣味が偏ってしまう」と笑う。
◇努力は天才に勝つ 片桐奈保美氏
 長年にわたり〝反原発〟運動に携わってきた。ロシアのウクライナ侵攻に伴う原発攻撃に危機感を抱き、東京電力柏崎刈羽原発の再稼働反対を訴えたい一心で、出馬を決意した。

 「プーチン大統領がこのようなことを起こさなければ、(知事選に)出なかったと思う。『原発の安全性を確認』などと言うが、とんでもない指導者から(原発が)攻撃されれば、安全もへったくれもない」と語気を強める。
 家業の住宅建築会社を無借金経営で成長させてきた手腕は、知事選でのアピールポイントでもある。家庭の都合もあり高校卒業後に入社し、兄と共に切り盛りしてきた。「造って喜び、売って喜ばれ、人に紹介して喜ばれる住宅」がモットーで、「この三つができていたから50年間、無借金でやってこれたと自負している」と胸を張る。
 「若いときはとにかく悔しい思いをした。会社を大きくしたかった。それに勉強してこなかったので、勉強しなければと」。こうした思いを原動力に、40代のころに1級建築士の資格を取り、50代のころには新潟大法学部に入学し、卒業。「人間、やる気になればやれる。努力は天才に勝つと思っている」と力を込める。
 デンマーク刺繍が余暇の楽しみ。「今までに500点くらい作った。会社をやっているといろいろと大変なことがあるが、そんなときにテレビを見ながら刺繍をやっていると、ストレス解消になる」と声を弾ませる。

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