28歳の会社員「給与以外に毎月5万円の収入が欲しい」は投資で実現できる?手元資金はいくら必要か

経済アナリストの馬渕磨理子です。

私は自身の動画番組で、若い世代の方からの質問に毎週答えています。最近は、投資を始めようと思っている方が非常に多く、投資に関する様々な質問が寄せられています。その内容は現役世代の「生の声」であり、皆さんにとっても参考にしていただけると思いますので、紹介いたします。


リアルな質問「投資で毎月5万円の収入が欲しい」

IT関連の28歳会社員の男性から寄せられた実際の質問は、このような内容です。

「いつも給料が入ってきますが、ここに、せめてあと5万円入ってくるようになったらすごいなといつも思うんですけど、どうやったら月5万円を投資で稼げるようになりますか?」

この質問に対して、私の答えは「ものすごく分かります!」。労働の対価である給料以外に、投資での収入を手に入れたいと考えることは非常に素晴らしいと思います。前向きに人生について考えている方だと思います。

ただ、「毎月5万円の収入が増える」の意味合いを、少しだけ深掘りして考えてみましょう。毎月5万円の収入が増えることは、1年間で収入が60万円(5万円×12ヵ月)増えるということです。結構な収入増加ではないでしょうか?

富裕層の方々は、配当で生活していると聞いたことがある方も多いでしょう。そこで、月5万円(年間60万円)の資金を定期的に手に入れるために、必要な資金がどれくらいかを試算してみると、配当3%の利回りの金融商品で運用した場合、年間60万円の配当を得るにはなんと約2,000万円必要になります。実は、月々5万円を定期的に手に入れるためには、思っている以上に手元資金が必要なのです。

目指すは「富裕層と同じメリットを受ける」配当生活

「厳しい現実…」とがっくりされる方もいらっしゃるかもしれませんが、次は富裕層の方と同じメリットを受けるためにはどうしたらいいのか、一緒に考えていきましょう。

他にも、「個別企業の投資やFXで、月5万円くらいは利益を出せるよ」との声も聞こえてきそうです。それも、おっしゃる通りです。企業分析や相場の分析を行い、アクティブな運用で手元資金を増やせる方は、ぜひ積極的な運用にチャレンジしてみてください。

ただ、私は自身の書籍でも執筆していますが、年齢を重ねて手元資金が増えていく中で、基本的には配当生活に移行していくことが理想だと考えています。

世界の富裕層の方々がしている資産運用は、手元資金をテコに配当利回りを得る方法です。例えば、2億円の手元資金があれば3%の利回りで年間600万円の配当金になります。ひと昔前であれば、「リスクを押さえながらリターンもある程度ある金融商品」などは、手元資金が多い富裕層にしか販売されず、一般には出回らない限定的なものでした。

しかし、今は平均的な収入であっても十分にメリットを受けられる金融商品がたくさん存在しています。ある意味、投資や資産運用が「民主化」しています。ある程度の資産を持てば、だれでも配当の恩恵を受けられる時代なのです。だからこそ、「最終的には、富裕層が資産運用のメインとしている配当でリターンを得る」というイメージを持っていただくことが、「投資で毎月5万円の収入」に繋がるのではないでしょうか。

余談ですが近年、日本でもFIRE(Financial Independence, Retire Early)と呼ばれる「経済的自立」と「早期リタイア」を達成している人が数多くいらっしゃいます。私の周りのFIRE達成者は、完全にリタイアされている方は非常に少なく、好きな仕事を積極的にされています。皆さん共通して「自由に人生を選択できる権利を得たのであって、リタイアするか、働くかも自分の手の中にある」と話します。まさに、自分の意志で、自分の人生の選択をされています。

月5万円を手にするには、資産形成は早くから始める

手元資金が2,000万円あれば毎月5万円、年間60万円の配当の恩恵を受けることができる、とお伝えしました。まさに「老後2,000万円問題」の2,000万円を、現役世代のうちに確保しておくことが重要になってくるわけですね。

ここで簡単に、シミュレーションしてみましょう。毎月3万円を投資に回し、しっかりとリターンを確保したい利回りの5%利回りで25年運用すると、資産は1780万円になります。積極運用の7%利回りで運用すると2430万円になります。やはり、資産形成には年月が必要であり、早くから始めることで複利の恩恵を受けることができます。ここまでが、一般に良く話されている資産形成の教科書的な内容です。

「25年は長いな」「なんだか、余計に不安になってきた」という声が聞こえてきそうです。そこで、私の考えを最後に紹介します。現役世代は、毎月収入が入ってくることを考えると、ある程度リスクを取ることができます。

まとまった金額である貯金の一部を利回りの高い運用をしながら、積立投資を並行してすることが良いと考えています。厚生労働省の国民生活基礎調査によると、40代の平均貯蓄額は650万円、30代は530万円、20代は179万円です。

例えば、30代であれば平均貯蓄の530万円のうち、10%の53万円を7%の利回りの商品で運用すれば、年間37,100円の配当を得ることができます。15%の79.5万円を7%の利回りで運用すれば、年間55,650円の配当になります。

円安とエネルギー価格の影響で、家計の圧迫は年6万円程度になるとの試算もあります。貯金の一部を高配当の商品に投資することで、インフレに備えた資産防衛にも繋がるのではないでしょうか。


足元の円安によって電気代や食費の高騰が家計を圧迫していることもあり、労働収入だけではなく、投資で収入を増やしたいと考える方が増えてきています。不安定な情勢が続くだけに、自分の資産は自分で守りながら豊かな人生を送りたいものですね。

© 株式会社マネーフォワード