「金田城跡」登山道口付近に“トイレカー” 対馬の国指定特別史跡で初導入

「金田城跡」の登山道口付近に設置されたトイレカー=対馬市美津島町

 長崎県対馬市は、同市美津島町の国指定特別史跡「金田城跡」の登山道口付近に、軽トラックの荷台に洋式トイレを載せた「トイレカー」1台を設置した。同史跡でのトイレ導入は初。観光客や市民からの要望に応えた。
 トイレカーは、高さ2メートル75センチ。男女兼用と女性専用の2部屋がある。購入費は約470万円。4月下旬に整備した。
 金田城は、大和朝廷が7世紀に外敵の侵攻を防ぐために築いた朝鮮式の山城。城山(276メートル)に設け、防人(さきもり)が常駐した。日露戦争前には旧日本陸軍が砲台を築き、現在も総延長約2.2キロの石塁が残る。日本城郭協会は2017年に「続日本100名城」に選んでいる。
 元寇(げんこう)をモチーフにし、世界的にヒットしたゲームソフト「ゴースト・オブ・ツシマ」に金田城が登場したことで、実際に出向くファンの“聖地巡礼”の地としても関心が高まっている。
 市によると、市民らからトイレ整備を求める声があったが、国指定特別史跡は地面を掘り返すなどの工事は原則できない。そこで、移動式トイレカーの設置を決めた。コロナ後の観光客のさらなる増加も見据えた。
 市の担当者は「来訪客が増える中でも、トイレカーで安心して観光を楽しんでもらいたい」としている。


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