「福井洞窟ミュージアム」開館1年 入館者2万人、計画の2倍超

旧石器時代から縄文時代にかけての暮らしぶりを学べる福井洞窟ミュージアム=佐世保市吉井町

 長崎県佐世保市吉井町の「福井洞窟ミュージアム」が昨年4月28日に開館し1年が過ぎた。初年度の入館者数は計画の約2倍のペースで推移。団体客の利用やさまざまなイベントを企画したことなどが入館者の伸びを後押しした。
 ミュージアムは、同町にある国指定史跡「福井洞窟」で出土した石器や土器など約400点を展示。洞窟のジオラマや土層の断面など当時の様子を体感したり、石器や土器について映像などで学んだりして、旧石器時代から縄文時代にかけての人類の暮らしを学ぶ施設として市が開設した。
 市教委文化財課によると、初年度の入館者目標は1万人。交通アクセスが良くない立地環境や他の文化財施設の入館者実績を踏まえて設定していたが、開館約3カ月で目標を達成した。新型コロナウイルス禍で8月から9月にかけて約1カ月間、休館したが、年間の入館者は約2万2千人に上った。
 他の時代に比べて旧石器時代の出土品を扱う博物館が少ないことや、新型コロナ禍で修学旅行先を県外から県内に変更した小中学校から多くの児童生徒が訪れたことなどが追い風になったという。

幅広い年齢層が楽しめるイベントなどを企画したのも好調な要因=佐世保市(市教委文化財課提供)

 幅広い年齢層に対応するイベントや展示を月1回のペースで企画したのも好調な要因の一つ。石器づくり講座といった体験型や講演会など楽しみながら学べる内容にした。同課はオープン効果が薄れる2年目を「勝負の年」と位置付けており、学芸員の小林祐子さんは「企画の内容を充実させながら郷土に愛着を持ってもらうきっかけづくりをしていきたい」としている。


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