稲佐立体交差「維持」で整備 長崎県が方針 2024年3月完成目指す

 長崎市宝町の市道と国道が交わる「稲佐立体交差」の平面化計画について、県は17日、立体交差を維持しつつ、国道を一部を埋め立て平地に歩道を整備する方針を明らかにした。地域住民の理解を得られなかったことなどが理由。
 県は当初、交通渋滞の緩和や、市道の下を走る国道の底部に雨水がたまり、通行止めになる事態の解消を図ろうと平面化を計画。2020年10月に着工予定だった。
 しかし平面化した場合、▽立体交差が担う貯水機能が失われ、豪雨時に地域が冠水する恐れがある▽歩道橋などを新設すれば歩行者にとって不便-などと地元住民の理解が得られず、着工が遅れていた。
 加えて、幸町の三菱重工長崎造船所工場跡地では、通販大手ジャパネットホールディングス(HD、佐世保市)が「長崎スタジアムシティプロジェクト」の建設を計画。完成すれば、JR長崎駅と同施設を結ぶ市道は、車両と人の通行量が大幅に増加することが見込まれるため、県は、安全性の観点から立体交差の維持も検討していた。
 新たな計画では、国道を相互3車線から4車線に増やし、両端を一部埋め立てて平地に歩道をつくる。今後、都市計画変更の手続きを進め、24年3月の完成を目指す。県長崎振興局都市計画課の山口祐樹課長は「安全確保のため、車両と歩行者の動線を切り離す計画」と話した。


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