新型コロナ、保険の給付金請求を忘れていませんか?入院以外で請求できるケースも

新型コロナウイルスの感染拡大以降、大きな制限のかからない初めてのGWが終わりました。重症者数や死亡者数は減少傾向にあるものの、感染のリスクはまだ続いています。

もし感染した場合、個人加入の保険は給付金を請求できるのでしょうか?


入院以外で給付金を請求ができるケース

新型コロナウイルス感染症は特別な病気ではありますが、治療のため病院に入院することは他の病気と変わりありません。したがって、基本入院治療をすれば、ほとんどの医療保険の入院給付金は支払われます。ウイルスが肺で増え肺炎が悪化、呼吸不全なった場合、自力での呼吸が困難になるため、集中治療室でECMOを使い治療することがあります。特定集中治療室管理対象となれば、集中治療給付金が支払われる場合もあります。

子どもが感染した場合も同様です。学資保険にセットされている入院給付金、子ども本人が加入している医療保険の入院給付金などが給付の対象です。保育所や幼稚園では予防が難しい場合が多いですから、リスクも高くなりがち。感染と同時に親も休業しなければなりません。親の休業保障として、請求できるものは忘れずに請求しましょう。

入院以外で給付金を請求できるケースはどんな場合でしょうか?

まず、医師または公的機関の指示で、ホテル等の収容施設に入所した場合、または自宅待機となった場合、保険会社の特別措置として、入院給付金が支払われます。

意外に知られていないのが次のようなケースです。感染症以外の傷病であっても、感染症の影響で医療機関が満床となり入院が開始できず、自宅療養を指示された場合。または、本来ならまだ入院治療を継続しなければならないが、予定より早く退院を指示された場合。このようなケースでも、入院給付金を請求することができます。

給付金はどのくらいもらえるのか

一般的な医療保険で保障内容が次のような場合、下記のような給付が想定されます。

【保障内容】

・入院給付金日額10,000円

・入院時一時金が入院給付金の10倍

・集中治療室管理給付金が入院給付金の20倍


【ケース1】

PCR検査で無症状だが陽性と判定され、医師から自宅療養10日の指示を受けた

給付例:合計20万円給付金受取

(内訳)入院給付金10万円、入院一時金10万円


【ケース2】

発熱があり病院を受診、PCR検査で陽性と判定、呼吸も苦しくなり即日入院。14日入院のうち3日集中治療室でECMOによる治療を受けた

給付例:合計44万円

(内訳)入院給付金14万円、入院一時金10万円、集中治療室管理給付金20万円

保険会社ごとに、特別措置による支払い項目は違っています。基本的な入院給付金は支払い対象ですが、入院一時金や初期入院費用などが対象になるかは、各社公式サイトに紹介されていますので、ご自身の加入されている保険にあわせて確認ください。

請求にはどんな書類が必要?

新型コロナ関連の入院給付金請求に関しては、通常の書類より簡単に請求できるよう配慮されています。保険会社により異なりますが、通常の入院であれば、14日以上の入院だと診断書が必要になる場合がありますが、新型コロナによる入院では、入院日数を問わず診断書省略の会社が多く、「給付金請求書」「感染症専用状況報告書」「領収証のコピー」で請求が可能です。

自宅やホテルなどの施設で療養を指示された場合は請求書と報告書に加え、「感染の事実がわかる書類」があれば請求可能です。保健所などが発行する「就業制限通知書および就業制限解除通知書コピー」がこれにあたります。

感染者はまだまだ多く、通知書が手元に届くまでには時間がかかっているようですが、診断書の取得には料金がかかりますので、気長に待った方が得策です。

医療保険以外にも対象になる保険が

新型コロナ感染症に対する保険というと、医療保険がまっさきに思い浮かびますが、他にも対象となる保険商品があります。個人保険としては、傷害保険と所得補償保険です。

傷害保険というとケガの保険と思いがちですが、「特定感染症危険特約」をつけることによって、新型コロナ感染症での入院も支払い可能となります。新型コロナウィルス感染症は現在、国で定める感染症法における分類で「新型インフルエンザ等感染症」に分類されており、傷害保険の特約で病院での入院はもとより、医師の指示による自宅療養でも支払い可能です。傷害保険に入っているけれど特約はついていないという場合は、途中から特約をつけることもできます。月額100円程度の負担で済みますので、追加することで感染した際の備えになります。

所得補償保険は、ケガや病気により働けなくなった時の生活を一定の期間支える保険です。この保険も見落としがちですが、新型コロナに感染して就業不能となった場合、給付金の支払い対象となります。会社の福利厚生として、団体で所得補償保険に加入しているケースもあります。補償内容を確認してみましょう。

新型コロナ保険に新たに入る必要性は?

「新たな感染拡大に備え、新型コロナに特化した保険に入った方がいいのですか?」というお問合せをよくいただきます。「コロナ保険」というコロナだけに対応した保険が爆発的に売れていましたが、採算の関係で保険料が上がったり、一旦売り止めになった商品もあるようです。現在の感染症が収束し、今までのインフルエンザのような扱いになるまでは、自宅療養なども支払い対象にする特別措置は続くと考えられます。基本的には入院すれば日額を支払う一般的な医療保険に加入していれば、新たな保険に加入する必要はないと考えられます。

基本的に、新型コロナ感染症に関する医療費は全額公費負担となっています。医療費の備えとして、新たに保険に加入する必要はないでしょう。ただし、ひとたび感染してしまえば、少なくとも10日は仕事を休まなければなりません。家族内で感染が続けばもっと長く休業を強いられます。その間の収入減や臨時にかかってしまう費用のために、人と接することが多く、感染リスクが高いお仕事の方は、加入を検討するのもよいでしょう。


この機会に、請求漏れがないか、重複して入りすぎていないかなど、保険を整理すれば、家計の見直しにつながるかもしれません。

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