「子どもの権利」学ぶ教材寄贈 スロベニア駐日大使 アジア圏初、長崎北陽台高に

「わたしたちの権利」の教材を手に持つペトリッチ大使(前列右から2人目)と英会話部の生徒ら=長与町、長崎北陽台高

 スロベニアのアナ・ポラック・ペトリッチ駐日大使は18日、長崎県西彼長与町高田郷の県立長崎北陽台高(山口千樹校長、822人)を訪れ、同国が推進する子どもの権利を学ぶ国際プロジェクト「わたしたちの権利」の教材10部を寄贈した。
 教材は、子どもの基本的人権を保障した国連の「子どもの権利条約」について、紙芝居を用いて分かりやすく伝える内容。同国は人権を重要政策課題に掲げており、本教材は翻訳されて世界26カ国の教育現場で活用されているという。
 県教委などによると、日本語版が昨年完成し、今回アジア圏で初めて寄贈された。同校は来年度、国際的な学びも視野に入れた「文理探究科」を新設することから、教材の活用が期待されている。
 同日あった寄贈式には、同校英会話部の2、3年生6人らが出席し、ペトリッチ大使と英語で交流した。大使は、世界で戦争や紛争が起きている中で、権利を尊重されていない子どもたちが多くいると紹介。生徒らに「まずは皆さん自身が権利保持者であると理解することが大事。そして、持っている権利はどういうものか十分に知り、すべての子どもたちが同じ権利を持っていると理解してほしい」と呼びかけた。
 教材を受け取った2年の松本新さん(16)は「今世界では戦争があっていて、子どもの権利は当たり前でないと感じた。これから学びながら権利を知ることの大切さを伝えていきたい」と話した。同部は8、9月、地域の小学生を対象に、今回の教材を使った講座を開く予定。
 ペトリッチ大使は同日、長崎市も訪れ、原爆落下中心地碑への献花や被爆者との懇談などを行った。


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