特殊塗料感知し自動運転 対馬で市民向け試乗会 全国初の実証実験 5月21、22両日

国道上に特殊な塗料で引かれた線の上を走る自動運転車両=対馬市上対馬町

 長崎県対馬市は20日、自動運転車両の実証実験を同市上対馬町で実施した。特殊な塗料を道路上に引き、センサーで感知して走行する仕組み。外食大手で車両運行サービス事業も手がけるシダックス(東京)と共催し、同様の技術は全国初。21、22両日には市民向け試乗会を開く。
 シダックスが貸し出した8人乗り乗用車を使用。国道約1.6キロに特殊な水性塗料で事前に線を引き、車両上部に取り付けたセンサーで線を感知し、最高時速20キロで自動走行した。運転手が乗車し、ハンドルやアクセルの操作は自動で、発進や停車時などは手動操作に切り替えた。
 明治大自動運転社会総合研究所や、塗料メーカー「日本ペイント・インダストリアルコーティングス」(東京)が協力。いずれは一定区間内などで操作が全て自動になる技術を目指す。乗り合いバスなどでの活用が期待されるという。
 市は高齢化や人口減少による交通弱者対策として2019年に明治大、21年にシダックスと連携協定を結び、自動運転実現に向けた事業に取り組んでいる。19年夏には、衛星利用測位システム(GPS)を活用した自律走行バスの実証実験をしたが、山が多い地形でGPSが正確に作動しづらいという懸念があった。
 特殊塗料の技術は、日本ペイント-が開発。GPSに比べ地形に左右されにくく、比較的低コストで済む利点があるという。
 市は実証実験で塗料の耐久性や自動運転の正確さ、市民のニーズなどを調査し、今後の事業に生かす。市しまの力創生課の安重武志副参事兼係長は「高齢化が進み、将来を見据えて自動運転を検討しないと一気に市民の足がなくなる可能性がある。実証実験の結果を踏まえ、なるべく早期の導入を目指したい」と話した。


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