ウクライナ避難民の定住などを支援 有志団体、仕事の経験持ち寄る

日本での在留資格変更のために支援を受けるウクライナからの避難民(安藤さん提供)

 仕事で培った経験やスキルを持ち寄り、日本への避難を希望するウクライナ人を支える「プロボノ」集団がある。有志団体「Ukraine to Japan」は、現地の渡航手続きから日本定住までを一貫して支え、これまで8人を受け入れた。国内代表の安藤昭太さん(40)=横浜市=は「誰かが始めるのを待っていられなかった。支援体制を確立し、多くの人を受け入れたい」と意気込む。

 同団体はウクライナ、ポーランド、日本を拠点に4月に始動した。現地チームは、日本に避難する意思を持つウクライナ人を見つけ、ビザ発給手続きや日本への渡航をサポートする。国内チームは身元引き受け人となり、住居の確保のほか、各種申請手続きなど生活全般にわたり、切れ目のない支援を提供する。

 安藤さんは、団体の役割を「つなぎ」と表現する。「行政や財団だと支援表明から開始まで時間がかかる。避難民はこの1~2週間をどう生きるのか困っており、待っていられない」

 活動拠点の一つであるポーランドでは人口約3800万人の国内に、約320万人もの避難民が流入。一時避難施設から退去を求められたり、子どもを児童養護施設に預ける決断を迫られたりしている避難民がいる。身一つで逃げ、経済的にも困窮しており、迅速な支援が必要だ。

 同団体は、避難民の緊迫した状況を目の当たりにした現地メンバーの呼びかけで生まれた。専業はおらず、約40人のメンバー全員が別に本業を持つ。素早い支援体制の構築に役立ったのが、個々人のビジネススキルだ。支援を表明する企業や自治体の情報を収集し、改善を繰り返しながら支援パッケージをつくり上げてきた。

 エンジニアなどから構成する開発チームが効率化をさらに加速させる。実務はビジネスライクだが、共通するのは「目の前に困っている人がいるから、助けたい」という思い。安藤さんもその一人だ。「避難者が救急車のサイレンやヘリコプターの音を怖がったり、親族や友達の身を案じて精神的に不安定になったりする様子を見ると、戦争をより近くに感じる。何とか力になってあげたい」

 団体はこれまで、日本に身寄りがない8人を引き受けた。航空券や生活費など、支援にかかる費用はメンバーらの持ち出しも多い。さらなる支援の拡大を目指し、今月から寄付の受け付けを開始した。安藤さんは「それぞれができることを、できる範囲で支援してほしい。たくさんの支援の表明が大きな力になる」と訴える。寄付や支援の申し出は、団体のウェブサイトから。

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