暑さに強いコシに 田中ファームで試験栽培始まる NU1号

 新潟大と刈羽村先端農業バイオ研究センターの研究グループが2020年に発表した、従来のコシヒカリに比べ高温に強い「NU1号」の試験栽培が21日、上越市荒屋にある田中産業の農業部門「田中ファーム」の水田で始まった。上越地域では初の取り組み。
 NU1号は新潟大農学部の三ツ井敏明教授らの研究グループが、高温・高濃度二酸化炭素(CO2)耐性を持つコシヒカリの突然変異体を選抜・作出し試験を行い、それぞれへの耐性を確認したもの。同年3月、「コシヒカリ新潟大学NU1号」の名称で品種登録された。その後、刈羽村と南魚沼市で試験栽培を行っている。
 同日、三ツ井教授らも参加して田植えが行われた。3台の大型田植え機が次々と水田に入り、1時間程度で田植えは終了。60アールにNU1号を植え付けた。NU1号はコシヒカリBLに比べて高温下でも玄米が白濁せず品質を保つ。また茎がやや短く、倒伏しにくいのも特徴だ。

田植え機に乗り込んで苗の状況を確認する新潟大農学部の三ツ井教授(後列右)
NU1号の苗を手にする新潟大農学部の三ツ井教授と植え付けを行った田中ファームのメンバーら

 県内の水稲栽培は、近年夏の異常な高温により品質が著しく低下することがあり、対策は大きな課題となっている。三ツ井教授は「農業者は高温によるコメの品質低下に困っている。(NU1号が)そこに貢献できればいい。食味も良好だと考えている。新潟のコシヒカリ作りに良い貢献ができれば」と話していた。

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