雲仙・普賢岳 大火砕流31年を前に朗読会 元島原市職員の内嶋さん

臨場感豊かに詩を朗読する内嶋さん=島原市、森岳公民館

 雲仙・普賢岳噴火災害で43人が犠牲になった6月3日の大火砕流から31年となるのを前に、長崎県島原市で舞台芸術など創作活動に取り組む元市職員、内嶋善之助さん(69)が22日、噴火災害を題材にした朗読会「アンタレスの涙」を森岳公民館(城内1丁目)で開いた。
 内嶋さんは当時、市職員として避難所の開設などの災害対応に当たった。被災地で見聞きした内容や自身の体験を継承しようと、31年前から噴火災害をテーマにした戯曲や詩、演劇などの制作に取り組み、作品を上演し続けている。
 アンタレスの涙は、普賢岳噴火災害を体験したさまざまな人たちの話を基にした詩集に、自身が書き留めた災害時の日記やエッセーなども盛り込み構成している。朗読会では約30人を前に、噴煙を上げる普賢岳や火山灰に覆われた街並みなどの写真をプロジェクターで映写。内嶋さんが詩の登場人物によって声色を変えながら、臨場感豊かに読み上げた。
 内嶋さんは「作品の上演を通し、当時のことを思い出してもらいたい。噴火災害を語り継ぐためにも、今後も続けていく」と話した。


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