宮﨑和子さん死去 93歳 島原の作家・故宮﨑康平さん妻 著作「まぼろしの邪馬台国」

宮﨑和子さん

 著作「まぼろしの邪馬台国(やまたいこく)」で知られる島原市の作家、故宮﨑康平さん(1917~80年)の妻、宮﨑和子(みやざき・かずこ)さんが25日午前、療養先の南島原市の病院で死去した。93歳。自宅は島原市中町792。告別式は27日午後1時から島原市田町695の1、松本仏壇店島原会館で行われる。喪主は長男の春而(しゅんじ)さん。
 29年生まれ。58年に結婚し、32歳で失明した康平さんの創作活動を口述筆記などで支えた。67年には邪馬台国が島原にあったと論じる同作を刊行し、第1回吉川英治文化賞を夫婦で受賞。夫婦をモデルにした映画「まぼろしの邪馬台国」が2008年、吉永小百合さんと竹中直人さんの主演で制作された。孫は同作にも出演している俳優の宮﨑香蓮さん。
 康平さんの話を口述筆記する際には、原稿用紙に走り書きした後、漢字や仮名の使い分けを全て尋ねて清書した。田中俊廣・活水女子大名誉教授(日本近現代文学)は「奔放な人柄だった康平さんを、目となり手足となって支えた人。和子さんがいなければ『まぼろしの邪馬台国』は世に出なかったかもしれない」と夫の著作への貢献を語った。


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