神奈川・三浦海岸、今年は海水浴場開設せず 経営難にコロナ禍、存亡の危機に

広々とした三浦海岸。夏本番を控えても人影は少ない=三浦市

 身近な海水浴場としてファミリー層に親しまれてきた三浦海岸海水浴場(神奈川県三浦市)が、今年は開設されないことになった。救護施設費用などを賄うのに不可欠な海の家の設置希望者がいないためで、自主的に開設しないのは初めて。三浦半島有数の観光拠点が、構造的な経営難とコロナ禍で存亡の危機に立っている。

 京急線三浦海岸駅から歩いて5分の同海水浴場は、首都圏に近い遠浅の海岸として半世紀以上親しまれてきた。最盛期には隣接する横須賀市までまたいで100軒以上の海の家が連なり、近年もファミリー層を中心に40万~50万人が訪れていた。

 しかし、6軒が設置された2019年は台風15号の被害に遭い、20年は新型コロナウイルスの感染対策で海水浴場を開設しなかった。昨年は2軒のオープンにとどまった上、感染拡大のため3週間以上前倒して閉鎖。経済的に大きなダメージを負った。

 そして、今年はついにゼロ。昨年、海の家「丸長荘」を設置した同海水浴場組合の吉田勝組合長(64)は「『県が休場を要請した場合には速やかに海水浴場を休場する』という県のガイドラインが決め手になり、今年は設置を諦めた」と打ち明ける。

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