県高校総体前特集 バレーボール男子(3) 全身全霊で勝利を目指す別府鶴見丘

バレーボールの全国高校総体への出場をかけた県高校総体が、6月4日から3日間かけて開催する。全試合3セットマッチのトーナメント方式となり、準決勝以降は勝ち上がった4チームによるリーグ戦で王者を決める。今回は男女とも例年と顔ぶれの変わった今大会のシード校を紹介するとともに、注目選手などを紹介する。

男子の第3回は、3年生力が高まる別府鶴見丘。

■昨年度の主な成績■

県高校新人大会 3位

春の高校バレー県予選 準優勝

県高校総体 準優勝

2019年の県高校総体以降、優勝から遠ざかっている別府鶴見丘。4月に開催された全九州バレーボール総合選手権大会大分県予選(九総予選)では準決勝で大分工業に敗れ、ベスト4に終わった。試合後、舞裕太監督は「個人のスキル、力の差が歴然と出た。力負け、完敗」と話し、次の舞台となる県高校総体での雪辱を誓った。

今年の別府鶴見丘のスローガンは「鶴見旋風を起こす」。そこには「実力では相手が上。だからこそ旋風を起こして、下剋上を果たしたい」という強い思いが込められている。高身長の選手がいないからこそ、チームが目指すのは、全員で攻撃し、守る「全員バレー」。県高校新人大会以降、特にバックアタックを含めた攻撃面の構築に力を注いでいる。

その肝となる1人が1年生セッターの遠々内慎。中学で全国の舞台を経験し、高校入学直後の九総予選でもレギュラーとして出場した。上級生に混じり、まだまだ荒削りながら大きな存在感を見せている。舞監督の「私も高校1年生でセッターを任され、先輩たちにトスを上げていた。重なる部分が多い。最後までチームのために動けるセッターに育てていきたい」という口ぶりからも期待の高さがうかがえる。

県高校総体で旋風を起こし優勝をつかむためには、選手特に3年生の意識改革も必要不可欠だという。「チームを引っ張ろう、優勝しようという強い気持ちを持たなければ、これ以上の逆転劇は起こらない。特に篠田(圭吾、3年)にはキャプテンの熱量がチームの強さになる。言いたいことを言って、チームをまとめていけと話している」(舞監督)。その熱い思いは選手たちもしっかり伝わっている。

エースでキャプテンの重責を担う篠田は「これまでは自分でため込んで、結局何もできないことが多かった。もっと自分を前に出してチームをつくっていきたい」、オポジットとして攻撃の要となる江藤沙空(同)は「(九総予選の準決勝で)大分工業と戦って、自分の良いところ、悪いところ、優勝するために必要なものが明確になった」と決意を口にする。3年生として迎える最後の夏。負けられない、負けたくない。そんな思いが着実に芽生えている証だ。

別府鶴見丘の姿勢や思いを表すのに最もふさわしい言葉が、舞監督が常々口にする「明日何もかも失ってもいいくらい、今日打ち込め」。選手たちは「今、この一瞬」に全てをかけ、全身全霊で勝利をつかもうとしている。

 復権を狙う別府鶴見丘

(甲斐理恵)

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