相模原の骨董店で見つけた半鐘 100年ものだった 故郷の宮城・多賀城市へ

半鐘を挟んで並ぶ(左から)化度寺の根來興宣住職、顕妙寺の望月隆健住職と新井康文さん=愛川町半原の顕妙寺

 愛川町半原の日蓮宗顕妙寺(望月隆健住職)が檀家(だんか)に薦められて購入しようとした半鐘が、100年以上前に宮城県多賀城市の化度寺(けどじ)に檀家が納めたものであることが分かった。

 刻まれた銘文から半鐘の“出自”を探り当てた望月住職は、化度寺の根來興宣住職に連絡。4月下旬、顕妙寺を訪れた根來住職の手に半鐘が戻った。根來住職は「この100年の間に火事で焼け、古いものが残っていない。この半鐘は寺の昔を伝える貴重な品。戻ってきてありがたい」と話している。

 不思議な“縁”をつないだのは、顕妙寺の檀家の新井康文さん(64)=愛川町半原=。昨年12月、相模原市内の骨董(こっとう)店で半鐘が売られているのを知り、興味を持った。半鐘の直径は約24センチで、高さ約45センチ。顕妙寺には鐘も半鐘もないことから、望月住職に「購入したらどうだろう」と伝えた。

 連絡を受け、望月住職が確認したところ、半鐘には「大正八年四月二日 化度寺二十四世」などの文字が刻まれていることが判明。大正8年(1919年)に当時の檀家が化度寺24代目住職に納めたものとみられ、化度寺が多賀城市に現存していることも分かった。

© 株式会社神奈川新聞社