閣僚や自民議員から「失言」? 参院予算委 首相は慎重答弁に努めるも 一時は一触即発 

 コロナ禍やロシアのウクライナ侵攻の影響に備えた景気・物価高対策の補正予算案の審議が30日、参院予算委員会で始まった。岸田文雄首相が慎重な答弁に努めた一方で、閣僚や自民議員からは「失言まがい」(野党幹部)の答弁やヤジが出た。審議が中断する場面も生じたことで「自民や政府に油断がある」(同党閣僚経験者)と指摘する声が身内からも上がっている。

 「細かい通告を受けていないので(データなどを)一生懸命探しております」。立憲民主党の蓮舫氏から東京五輪・パラリンピック後の新国立競技場の民間委託見通しなどを問われた末松信介文部科学相は答弁で立ち往生。「遅いぞ」などといった野党からのヤジにいらだちを隠せず、答弁席で反論した。ただ、「以前に文科委員会でも議論し、質問通告もきちんと行った」と蓮舫氏からの指摘を踏まえ「広い意味では通告はありました」と訂正した。

 そのさ中に自民議員からは「ここは予算委で文科委じゃない」とのヤジが飛び、蓮舫氏は「質問を封じるつもりか」と怒り心頭。野党理事が「不規則発言を注意せよ」、自民理事が「その必要はない」と予算委員長席に詰めより、一時は一触即発の雰囲気となった。 

 セクハラ疑惑を一部週刊誌に取り上げられた自民出身の細田博之衆院議長はこれまでに定数見直し10増10減への疑義を公言して物議を醸している。火種を抱える中で同党は予算委を「参院選直前のヤマ場」として、慎重な発言や対応を促していた。

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