きょうから6月

 きょうから6月。梅雨の足音が気がかりな時季だが、小欄の隣のお天気コーナーでは「晴れ」のマークが頑張っている。きょうもカラリと気持ちよく晴れそう▲長崎っ子にとって、6月1日といえば長崎くんちの「小屋入り」の日だ。和装やスーツでパリッと盛装した踊町の関係者らが諏訪神社の坂道を踏みしめるように行き交う写真は翌2日の紙面の定番。だがこの3年、それが載らない。秋の奉納踊りは今年も中止が決まった▲コロナ感染の先行きがいまだに見通せない上、演(だ)し物の稽古でも感染リスクは否定できず、結論は受け止めるほかない。ただ、今年の中止は神社を巡る疑惑や騒動をきっかけに、神社側と氏子の信頼が揺らいでいることも大きな要因とされる▲くんちの主宰者は誰なのか、でも意見の食い違いがあったらしい。「納め奉る」と文字の通りに読めば、奉納踊りの主体は踊町-という論法もあり得るのだろうが、くんちが市民の宝でもあることを疑う人はおそらく少ない▲こちらの文脈では外野から行方を見守るしかない。来年の今ごろ、長崎はいつもの風景と高揚感を取り戻せているだろうか-と心配するのは、いくら何でも気が早すぎるだろうが▲1年は長いが、解決すべき難題を抱えている時、時間は驚くほど早く過ぎることがある。(智)

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