「物の値上がりに加え、夫の単身赴任で赤字続き」焦る45歳パート主婦。どこを見直せばいい?

読者のみなさんからいただいた家計や保険、ローンなど、お金の悩みにプロのファイナンシャルプランナーが答えるFPの家計相談シリーズ。
今回の相談者は、45歳、パートの女性。最近の物価上昇に加え、夫の単身赴任で赤字が続いているといいます。教育費などに備え、家計を見直したいといいますが、どこを見直せばよいでしょうか? FPの飯田道子氏がお答えします。


毎月夫の給与の中でやりくりして、わたしのパート分は全額貯金を目標にしていましたが、上手くできず、ここ数年赤字続きです(大型出費は住宅ローン控除分で補填)。

そしてこの頃の物価の上昇にこの4月から夫の単身赴任が重なり、さらに出費はかさむ一方です。住宅ローンは繰り上げ返済をするつもりで、返済期間を35年で契約しましたが、現状の家計状況だと繰り上げ返済どころか夫婦高齢まで支払いが続くため、完済困難となり住み続けられないかもしれないという不安があります。

一方で教育資金準備や親の介護も迫っており八方塞がりです。このような不安から、夫は余剰資金がないなりに、日々投資の勉強をし、長期的に見て少額ですが運用してくれています。

教育費など将来に備えながら住宅ローンを払い続けていく方法、固定資産税自動車税等の大型出費に備える方法、パート分を貯金するために見直せる項目があるのか相談させていただきたいです。夫の唯一の楽しみは自宅でお酒を飲むことなので、なるべく削らなくて済むように考えていきたいです。よろしくお願いします。

【相談者プロフィール】

・女性、45歳、パート ・夫:44歳、会社員 ・子ども:2人(6歳、9歳)

・住居の形態:持ち家(戸建・中国地方)

・毎月の世帯の手取り金額:47万円(夫42万円、妻5万円)

・年間の世帯の手取りボーナス額:60万円

・毎月の世帯の支出の目安:47万円

【毎月の支出の内訳】

・住居費:12万円

・食費:7万円(アルコール含む)

・水道光熱費:2万6,000円

・教育費:5万3,000円

・保険料:3万2,000円

・通信費:2万6,000円(スマホ3台+自宅wifi)

・車両費:3万8,000円(ローン1万8,000円、保険料1万円、ガソリン1万円)

・お小遣い:5万円(夫:単身赴任生活費)

・その他:6万円(消耗品・衣類等3万円、食費カード払い3万円)

【資産状況】

・毎月の貯蓄額:0円

・積み立て投資:2万5,000円

・ボーナスからの年間貯蓄額:40万円

・現在の貯蓄総額:200万円

・現在の投資総額:100万円

・現在の負債総額:3,622万円(住宅ローン残債3,525万円。4,030万円、金利0.69%〈2018年1月~10年固定〉、返済期間33年)+車2台

飯田:今回は、ここ数年、家計が赤字続きであり、住宅ローンの完済も難しいのではと不安を抱いている相談者様です。住宅ローンの不安の原因となっているのは、夫が単身赴任することになり支出が増えたこと、子どもの教育費、親の介護問題など、複合的にあるようです。相談者様としては、教育費など将来に備えながら住宅ローンを払い続けていく方法、固定資産税や自動車税等の大型出費に備える方法、パート分を貯金するために見直せる項目があるのか相談したいとのことです。これからどのように備えるべきなのか、考えてみましょう。

一度、すべての支出を見直しすることから始めましょう

毎月、赤字が続いているとのこと。心配ですよね。まず、確認して欲しいのがすべての支出項目で無駄がないか、見直しすることです。お預かりしている内訳の合計額は47.5万円ですので、このデータだけでも毎月5,000円がマイナスになっています。

一見すると無駄がないように見えるのですが、そのなかでも気になった部分にフォーカスしていきます。

食費は危険ゾーン?!

一番、見直ししやすいのが食費です。現在の支出額は7万円です。まだ、子どもは小さく、夫は単身赴任中のことを考えると、実質、大人1人と子ども2人で毎月の食費7万円は多いです。相談者様としては、「夫の唯一の楽しみが自宅でお酒を飲むこと」としていますが、単身赴任中であることを考えると、自宅に戻る日数は限られているはずです。必然とお酒にかかるお金も少なくなっていますよね。お酒を含めずに、4~5万円くらいまでに抑える努力をされてみてはいかがでしょうか。

さらに、カード払いの食費3万円も気になります。外食なのか、食材の購入費なのかは分かりませんが、通常の食費7万円と合わせると10万円が食費にかかっています。実に家計の22%強を食費が占めているのは多すぎます。

相談者様も働いていらっしゃいますので忙しいとは思いますが、まとめ購入や底値買いを試してみてください。また、面倒に思うかもしれませんが、あらかじめ1週間分の食事を考えておき、それにあわせて食材を購入し、食材を使い切るようにしてみましょう。慣れてくるとゲーム感覚でできるので、楽しくなりますよ。まずは、現金払いとカード払いで合わせて7万円を目指してみましょう。

外食をしたいなら、毎月1万円程度を予算に組み入れてください。その場合でも支出は8万円になります。そうすればお酒も購入できると思いますし、家族で外食もできますよね?

通信費も見直しの余地あり

次に、通信費の2万6,000円です。所有している内容から照らし合わせても、高いわけではありません。ただ、見直しという観点からは、支出を抑えられる項目となってきます。たとえば今、契約しているスマホを格安スマホに変更すれば、1台あたり3,000円以内に抑えることができます。3台すべては無理でも、1~2台だけでも変更すれば支出は抑えられます。上手くいけば、通信費だけで5,000円~1万円の支出が抑えられますよ。

単純に食費と通信費のみで、少なくとも2万5,000円の支出が抑えられる可能性がありました。

学費やご両親の介護について

子どもの学費は年々、上昇傾向にあるなどのニュースがあるため、不安に感じているかと思います。しかしながら、学費の無償化が進んでいますので、必要以上に不安になる必要はありません。

たとえば高校の無償化は正式名称を「高等学校等就学支援金」といい、公立高校の場合、保護者の年収が910万円未満(私立は年収590万円未満)であれば、年間の授業料に相当する金額が支給されます。

ご両親の介護については、子ども全員で考えていくものです。基本的に介護にかかる費用は親が出し、不足分を子どもたちで賄うのがよいでしょう。介護については、ご両親、子どもたち全員でどのようにするのかを話し合っておいてください。

また、介護にならないように対策することも必要です。できるだけ多く交流する機会を設けて、小さな変化に気付いてあげてください。

これからのお金の貯め方について

支出を見直したことで、少なくとも2万5,000円は確保できますので、これらはすべて貯蓄に回してください。また、相談者様は現在パートとして働いていますが、下のお子さんの手が離れたタイミングで、もう少し収入を増やすような形で働いてもよいでしょう。

住民税の課税対象は年収93~100万円くらいであり、自治体によって違いますので、確認して欲しいのですが、相談者様の年収は、現在60万円です。毎月の収入が2万5,000円増えれば年収90万円になるので、住民税の課税も避けられますよね。

場合によっては、扶養から外れて働くのもアリです。家族の状況を見ながら、収入アップできるような働き方を目指して欲しいと思います。

ざっくりではありますが、見直しと働き方を変えるだけで5万円は確保できるようになります。これらのお金を貯蓄に回し、大型支出に備え、少しずつでもいいので、住宅ローンの繰り上げ返済用の資金も貯めてみましょう。

夫のために支出は減らしたくないと考えている優しい相談者様ですので、目標さえ立てれば実践できると思います。あまり深刻にならずに、まずは支出の見直しからスタートしてみてくださいね。

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