つないでV8 柔道男子 長崎日大・主将の木村 一本勝ちで決着 第74回長崎県高校総合体育大会 第1日

【柔道男子団体決勝、長崎日大-長崎南山】長崎日大の大将木村(左)が背負い投げからの合わせ技で一本勝ち=長崎市、県立総合体育館サブアリーナ

 1-1で迎えた柔道男子団体決勝の大将戦。長崎日大の主将、木村は冷静に振る舞いながらも、胸の内は熱く燃えていた。「前の4人が必死にやってるのを見たら、ここで俺が決めなきゃって」。開始約50秒で背負い投げから抑え込んで一本勝ち。昨年11月の県新人大会、今年1月の全国選手権県大会に続いて長崎南山を2-1で退けて、連覇を8に伸ばした。
 原動力となっていたのは、3月の全国選手権初戦敗退だった。松本監督の「本当に悔しいと思えていた」という言葉通りに、その後の努力は体つきに現れた。当時73キロ級だった浦は、わずか3カ月で90キロ級へ2階級アップ、同じく2年生の宮本、桂も1階級ずつ増量。メンバーから外れた3年生の思いも胸に、一人一人が強くなっていた。
 ライバルとの決勝は先鋒、次鋒が引き分けた後、中堅宮本が奮起。「みんなのためにという思いだけだった。どんなにきつい練習も一緒に頑張ってきたから」。技ありを取って取られて、また取り返して一本勝ち。続く副将戦は落としたが「この人なら大丈夫」(宮本)と信頼されている主将の勝利へつなげた。
 試合後、連覇への重圧から解放され、多くの部員が涙ながらに歓喜する中、木村は笑顔で「ありがとう」と後輩たちをねぎらった。自らが勝負を決めても、おごらず、感謝の言葉だけを口にしたリーダー。このチームの強さが垣間見えたような気がした。


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