川上澄生の“魂”、スイスへ ツビンデンとの2人展、初の海外展示 鹿沼・川上澄生美術館

インターラーケン美術館に展示される川上澄生の「銀座」

 川上澄生美術館が所蔵する「南蛮船図」「銀座」など40点が今月から、スイス・ベルン州にあるインターラーケン美術館に展示されることになった。川上澄生美術館が海外の美術館に作品を貸し出すのは1992年の開館以来初めてで、関係者らは川上作品への評価の高まりを期待している。

 作品は今月18日~8月28日、川上と同時代に活躍したスイスの木版画家エミール・ツビンデンとの2人展「エミール・ツビンデンと川上澄生展」として展示される。

 昨夏、川上澄生美術館を訪れたスイス出身で日本在住の会社社長エーリッヒ・シュトゥールトレーガーさん(68)が川上の作品に感銘を受け、故郷のインターラーケン美術館に2人展を提案したことがきっかけ。市井の人々や生活を描くこと、対象をデザインのように捉えること、本の装丁や挿絵を手がけていたことなど、川上とツビンデンには共通点が多いという。

 インターラーケン美術館のハインツ・ハスラー館長は「今回の展覧会は、人生で一度も出会ったことがない2人の素晴らしいアーティストを紹介するものである。展覧会が開催できることを心からうれしく思っている」とコメントを寄せた。

 川上の次女で宇都宮市在住の川上さやかさん(77)は「父の作品がこれだけまとめて海外に行くのは初めてで、インターラーケン美術館の熱量を感じる。作品の幅が広く異国情緒あふれる作品も多いので、現地でどのように評価されるのか楽しみ」と話した。

 川上澄生美術館は今回の海外展を機にヨーロッパで作品の認知度を高めていくとともに、世界を視野に入れた美術館のPR強化も図る予定だ。

企画展が開かれるインターラーケン美術館

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