年収500万の共働き夫婦、ふるさと納税で「損してない?」と感じた原因

正しい税の知識を身につけることで、手元に残るお金が増えていくのに、「税金の話は難しい」ですって!? なんて……嘆かわしい!

嘆きをぶつけております、本物の税理士でお笑い芸人の税理士りーなです。

先日、「ふるさと納税をしたのに、何もトクにならなかった。むしろ損しているんじゃないかと思う」と相談をいただきました。手元に届いた「住民税通知書」を見て、同じ疑問を持った人もいるかもしれません。はたして、本当に損しているのでしょうか?


ふるさと納税の仕組み

相談者は共働きのご夫婦で、お2人それぞれ給与での年収が500万円あります。

「今年はじめてふるさと納税に挑戦しました。ふるさと納税サイトで寄附の上限が6万円と書いてあったので、夫婦でそれぞれ2月から4月で月2万円ずつ、3ヵ所の自治体に寄附をしましたが、税金が全く安くなっていないんです。2人で12万円まるまる損していませんか?」

ちょっとちょっと、落ち着いてください! そもそも、ふるさと納税の仕組みは、ざっくり説明と下記の通りです。

1. 好きな自治体(返礼品が欲しい自治体)に上限額以内で寄附をする
2. 会社員なら「ワンストップ特例制度」で税金が控除されるための手続きをする
(確定申告が不要な方で寄附した自治体が5ヵ所以内の場合のみ)
3. 控除で翌年の税金が安くなる

つまり、安くなっているかどうかは「納めなければならない税金が確定した寄附年の翌年」に確認できる、ということなんです。

2022年の寄付分はいつ控除される?

このご夫婦の場合、今年の2月から4月にふるさと納税をされています。今年の1月から12月の間にふるさと納税をした場合、会社員の方は1年分の給料支給総額がわかるのが年末です。そこで、その年の12月に会社が年末調整をしてまず「所得税」の金額が決まります。

収入に対してかかる税金は国に納める国税である「所得税」のほかに、住んでいる地域に納める地方税である「住民税」があります。ふるさと納税は主に、この「住民税」が安くなる制度です。

上限額の範囲内で寄付していれば、「寄附額-2,000円」の税金が控除されます。つまり、6万円寄付したなら「60,000円―2,000円」なので、58,000円の税金が住民税から控除されます。なお確定申告している方は、所得税と住民税あわせて58,000円分の控除となります。

住民税の計算は、その人の年末調整のデータを、自治体が引き継ぎ、内容を確認して、翌年の5月にふるさと納税分の控除額を引いた税額を計算して、会社に納付書を送ってきます。会社はその納付書を見て、その人の1年分の住民税額を12ヵ月で割った金額を6月から翌年の5月にかけて、給料から天引きします。

つまり、今年2022年2月から4月で寄付したふるさと納税分は、2023年の5月に会社へ届く住民税の納付書で反映されて58,000円安くなり、2023年の6月から2024年の5月までの12ヵ月で納める住民税の額が4,800円ぐらいずつ安くなっているはず、ということです。

住民税決定通知書でチェックすべき欄

そして、6月はまさに住民税の季節です。6月支給の給与分から、天引きされる住民税の額が変わります。会社から横に細長い「住民税の決定通知書」をもらっている方も多いのではないでしょうか? それは、昨年の1月から12月の収入や、昨年1年間のふるさと納税の金額を加味した金額になっているので、昨年ふるさと納税をした方は、ぜひ決定通知書をじっくり見てみてください。

自治体によってフォーマットが異なりますが、確認するところは「税額控除」という欄です。「市区町村」と「都道府県」でそれぞれ金額が入っているので、それらを合計して、寄付額より2,000円少ない金額になれば、「パンパカパーン、節税大成功!」ということです。確定申告をした方は、所得税での寄付金控除分も足してくださいね。自治体によっては、住民税決定通知書の適用欄に「寄付金税額控除額:〇〇円」と記載してくれている場合もあります。

もし、市区町村と都道府県の税額控除を足した金額が、寄付額―2,000円より少なかったらどうなるか、ですって? なんて……嘆かわしい! それは「ミッション失敗!」、一番お得なパターンではありませんが、控除できる金額以上にたくさん寄附をした「すごくイイ人」ということです。

ふるさと納税の上限額を超えて多めに寄附していたとしても、誰も「寄附しすぎですよ〜」なんて教えてくれません。自分で正しい知識を身につけて、寄附した後の確認までできるようにしておきましょう。


ちなみに、ふるさと納税の期限が12月だからといって、年末ギリギリに一気に寄附をする人もいるようですが、「1月中旬に返礼品が一度に届いて、冷凍室がいっぱいで入りません!」なんて、困ったことになったという声をよく聞きます。

なんて……嘆かわしい! 返礼品の中には、その時期にしか採れない旬の野菜や果物もありますし、地域で使える旅行券や雑貨・日用品の定期便もあります。1年を通してどんな返礼品をチョイスするか、上限額とにらめっこしながら早めに検討されることをオススメします。ふるさと納税のご利用は計画的に、です!

これからも税やお金の話題にアンテナをしっかり立てて、お得に節税してくださいね。

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