労災死傷者4年連続増 2021年 過去20年で最多1791人 長崎労働局

 長崎労働局は7日、2021年の県内の労働災害の発生状況を公表した。死傷者は1791人と4年連続で増加し過去20年間で最多。働き手の高齢化を背景とする社会福祉施設での事故増加に加え、職場での新型コロナウイルス感染者の大幅増加も一因となった。一方、このうち死亡者は9人で、2年ぶりに10人を下回った。
 負傷者は休業4日以上を集計した。同局によると、新型コロナ感染による死傷者は162人で、前年の53人から約3倍に増えた。うち死亡者はゼロ。業種別では、感染リスクが高い保健医療業・社会福祉施設の保健衛生業が8割近くを占めた。
 社会福祉施設での死傷者は270人で前年比43.6%増。減少または横ばいの他業種とは対照的な傾向を示している。全体に占める割合も02年の約2%に対し、15%にまで増えた。「転倒」や、腰痛などを含む「動作の反動・無理な動作」の割合が大きいことから、同局は現場の多忙な状況も要因とみている。
 同局は、18年度から5カ年の第13次労働災害防止推進計画で「22年までに年間死傷者1353人以下」を目標としているが、未達の見通し。今後、転倒災害防止の啓発や高齢労働者向けのガイドライン普及などに力を入れ「増加傾向に歯止めをかけたい」としている。
 死亡者9人の業種別内訳は、建設業7人、畜産業と接客娯楽業が各1人。製造業の死亡者が過去20年間で初めてゼロだった。


© 株式会社長崎新聞社