世帯半減 西日本豪雨の被災地 若者の挑戦 田舎暮らし体験でにぎわいを

4年前の西日本豪雨以来、世帯が半分にまで落ち込んだ広島・呉市の集落でビール作りという新たな挑戦を始めた若者…。にぎわいにつなげたいと企画したのは、都会の若者などを対象とした田舎暮らしの体験会でした。

「いい感じじゃないですか」

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クラフトビールを作っているのは、藤戸淳平さん、25歳。

IBブリューイング 藤戸淳平さん(25)
「1日じゃできないけど、1タンクで500本くらいはできる状態です」

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田舎暮らし体験会が開かれるのは、呉市 安浦町 市原地区のビール醸造所「IBブリューイング」です。

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藤戸淳平さん
「人がいっぱい行き来して、関係人口とかどんどん増やして、今回、来てくれた人たちがまた戻って来たいという場所にしたいと思っている」

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IBブリューイング 西原総司さん(22)
「到着です。これが、市原です。地区70年の古民家を改装して、ハブみたなスポットを作って…」

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案内するのは、IBブリューイングを運営する西原総司さん(22)です。ビール作りを担当する藤戸さんとともに体験会を主催しました。

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西原総司さん
「4年前に豪雨災害があったところで、工事も4年たっても復興途中…」

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市原地区は、4年前の西日本豪災害で3人が亡くなりました。西原さんと藤戸さんは去年、横浜から市原地区に移住し、被災した古民家を改装、ことし2月からビール作りを始めました。

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市原地区は被災前、24世帯が生活していましたが、今は半分に減りました。

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体験会には関東や関西などから8人が参加しました。

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東京から初参加 小平菜央さん(21)
「実際にこうやって自分で体験して、その地域の人と交流していく機会は、自分たち若者には大切なんじゃないかなと思っています」

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京都から初参加 太田雄斗さん(19)
「過去の4年前の災害についての報道が少なくなってきているんですけど、まだ現地では終わってないんだということを実感しました」

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大阪から4回目の参加 山下大輔さん(28)
「がんばっている2人を若い力で盛り上げたいなということで来ています」

さっそく醸造所の見学会です。

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「煮込んでいます。麦芽がない状態で、もう麦の香りがするので」

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小平菜央さん(21)
「時間をかけて、ていねいに作られているものなんだなって思いました。ワクワクしています」

体験会は、1泊2日の日程です。初日、男性の参加者たちは、母屋の解体作業を手伝いました。

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IBブリューイング 西原総司さん
「バールの使い方がうまくなってきた」

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クラフトビールは人気で、生産を月2000本から7000本へと大幅に増やすため、母屋を醸造所に改築します。

一方、女性の参加者たちはクルマのペンキ塗りです。

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「これ、完成したら(この車で)ビール祭りをやる」「おー」

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和歌山から初参加 岩見百華さん(22)
― ペンキ塗りは?
「わたしは初めて。正しいやり方がわからないんですけど、楽しみながらできたらいいなと思っています。女性2人なので」

終わると、近所の畑の草刈り…。これも初めての体験でした。

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作業の後は、テントサウナで汗を流し、藤戸さんが作ったクラフトビールでバーベキュー。都会ではなかなかできない経験です。

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東京から初参加 及能凜太郎さん(24)
「今回、参加した理由は、藤戸くんともともと知り合いだったというのもあるんですけど、そういうつながりがどんどんできて、その人たちが持っているアイデアを持ち込んでといういい相乗効果になると思います」

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和歌山から初参加 岩見百華さん(22)
「地域関係も良好で、2人の活動に対して地域住民やお店の方がたも協力的になって、どんどん活性化していけるといい。応援の気持ちになりました」

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西原さんは、クラフトビールやワークキャンプを通じて、市原地区の魅力を伝えたいと意気込みます。

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IBブリューイング 西原総司さん(22)
「市原の背景、豪雨災害があったと、悲しい部分のネガティブなところだけではなくて、市原だからこそできる魅力やアクティビティーなど、思うぞんぶん、県外から来た人に体験してもらいたいと。そういう思いで1泊2日のボランティアワークを主催しています」

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