戦時中のふるさと学ぶ 小中学校で「平和学習」開始 雲仙市教委

授業で学んだ戦時中の雲仙市内の様子について感想を話し合う生徒=同市立小浜中

 長崎県雲仙市の小中学生が地元の戦時中の様子を学び、平和について考える本年度の「ふるさと平和学習」が9日、同市小浜町の市立小浜中(伊藤信校長、135人)を皮切りにスタートした。7月中旬までに全24校で授業を開く。
 高学年児童と中学生を対象に、市教委が昨年度から実施。長崎新聞社が市内の戦争遺構や当時の新聞記事を基に、当時を知る住民を取材して教材のテキストを作成、講師も派遣する。
 この日は小浜中2年生(46人)の2学級で、記者2人が講師を担当。14人の児童が犠牲になった愛野空襲(愛野町)や、爆弾を積んだ特攻艇「震洋(しんよう)」の出撃訓練をした基地(南串山町)などについて、住民のインタビュー動画も交えながら紹介した。
 生徒たちは班に分かれて、テキストに載せられた新聞記事の感想を話し合った。欧米客でにぎわった雲仙温泉街から洋風の看板などが撤去されたことを伝える記事を選んだ班では、柳井大樹さん(13)が「その場にいたら暗い雰囲気で怖かったと思う。僕も好きな物を取り上げられるのは嫌だ。戦争が起きないように何ができるか考えたい」と話した。
 この取り組みでは、児童生徒が授業で得た感想をタブレット端末に書き込み、市教委が集約して今後の平和教育に生かす。


© 株式会社長崎新聞社