原爆死没者名簿3300人 記入始まる 8月、平和祈念式典で奉安

原爆死没者の冥福を祈り、筆を進める森田さん=長崎市職員会館

 昨年8月1日以降に死亡が確認された被爆者約3300人分の氏名、享年、命日を原爆死没者名簿に書き加える「筆耕」が2日、長崎市桜町の市職員会館で始まった。長崎原爆の日(8月9日)の平和祈念式典で奉安される。
 筆耕するのは書道講師で被爆2世の森田孝子さん(74)=同市葉山2丁目=。今年で21年目。毎年、被爆者の叔母からもらった硯(すずり)と、平和への祈りを込めてハトの箸置きを筆置きに使っている。書き終えるまでに7~8本の筆を使うという。
 森田さんは「世界では戦争が起こっているが、2度と被爆する子どもがいないよう伝えていくことが大切。心を込めて一人一人冥福を祈りながら進めたい」と話した。8月5日までに終える予定。
 原爆死没者名簿は1968年から作成。2018年から国が定める被爆地域外で原爆に遭った「被爆体験者」も対象に加えた。昨年までに累計18万9245人分を奉安(広島原爆の82人含む)。身元不明犠牲者のために用意された無記名の1冊を含め計194冊が国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館に納められている。


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