音と香り頼りにコーヒー焙煎実演 岡山、目が不自由な武川さん

武川さん(左)が焙煎したコーヒーを試飲する客

 生まれつき目が不自由で、音と香りを頼りにコーヒーを焙煎(ばいせん)する武川浩昭さん(46)=倉敷市=が、岡山市内の洋食店で実演販売を始めた。武川さんは「どのように焙煎するのか、過程を見てほしい」と話す。

 武川さんはコーヒー好きが高じて、2019年から複合商業施設・イコットニコット(同市北区駅前町)で開かれているマルシェで、自家焙煎したコーヒー「たけちゃん珈琲(コーヒー)」を販売している。苦みや酸味の少ないまろやかな味わいを特長とし、徐々にファンを増やしている。

 これまでドリンクや豆を売っていたが、客に焙煎作業を見てもらいたいと考え、よく利用する洋食店「ニコニコキッチンさんさん」(同本町)のオーナーに相談。快諾を得られ5月中旬から同店で実演販売している。

 同31日の販売では、客がコーヒーを試飲しながら焙煎の様子を見学。武川さんが焙煎機に入れた豆のはぜる音や香りの変化から、ベストな焼き具合を判断すると、「すごい」「こうやってやるんだ」と声を上げていた。武川さんは「お客さんが『手伝いますよ』と声を掛けてくれることもあり、その交流が楽しい」と笑顔を見せた。

 実演販売は毎週火曜日の午後1時半~3時。洋食店の客は試飲できる。豆はブラジルカラメリッチ、モカマタリなど常時4種類(100グラム600円~)を用意する。

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