トヨタ、眞貝知志がJN1初表彰台獲得。勝田範彦は初日にクラッシュ/全日本ラリー第5戦

 6月10日から12日にかけて、群馬県富岡市を拠点にJRC全日本ラリー選手権の2022年第5戦『MONTRE 2022(モントレー2022)』が開催され、TOYOTA GAZOO Racingは眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)が総合2位表彰台を獲得した。一方、シリーズ王者の勝田範彦/木村裕介組(トヨタGRヤリスGR4ラリー)は初日にクラッシュを喫し、リタイアとなっている。

 全8戦で争われるJRCの後半戦オープニングとして行われた第5戦モントレーは、富岡市の群馬サファリパークがラリーの拠点となった。今戦は2019年大会以来となる有観客での開催となり、FIA格式の国際ラリーシリーズであるAPRCアジア・パシフィック・ラリー選手権が併催されている。

 そんなモントレー2022の競技初日、6本のSSを走行するレグ1のSS2を終えた段階で総合首位に立った勝田は、続くSS3のフィニッシュ手前約1km地点でコースを外れ、立木に接触してしまう。アクシデントによる車両ダメージは大きく、この時点で競技続行を諦めざるを得なかった。

 その後、勝田車は長時間の修復作業を受け、全長21.92kmのステージ(SS8/10)を含む4本のSSが設定されたレグ2に再出走し、今後の戦いに向けたデータを集めている。

 一方、チームメイトの眞貝/安藤ペアは、勝田を含む優勝候補たちがアクシデントやトラブルで戦列を離れていくなかで徐々にペースアップし、総合2番手に順位を上げて初日を終えた。

 レグ2のSS7で自身初となるSSトップタイムをマークした眞貝。一時は総合2番手を争う柳澤宏至/加勢直毅組(トヨタGRヤリス)に0.4秒差まで迫られる局面があったものの、最終日の残りのSSをしっかりとまとめ、最終的にはライバルに対し20秒差をつけて2位の座を守った。この結果、JN1クラスで自身初の表彰台を獲得している。

「難しい展開のラリーでしたが、終わってみれば、自己最上位の2位を獲得することができました」と今戦を振り返った眞貝。

「初日の荒れた路面に対し、慎重にアプローチしたことがこの結果につながったのだと思います。パートナー企業の皆さんと緊密な情報共有を続け、チームとともに仮説検証を繰り返すことで車両開発を行ってきました」

「その成果を、結果として持ち帰れたことをとてもうれしく思います。ラリーを走るたび、トヨタGRヤリスGR4ラリーが着実に進化していることを実感します」

眞貝知志/安藤裕一組(トヨタGRヤリスGR4ラリー/TOYOTA GAZOO Racing) 2022全日本ラリー第5戦モントレー

■勝田範彦「クルマを修理してくれたチームの皆に心から感謝」

 今季初めてリタイアに終わった勝田は、「ラリー初日のSS3で、クルマを立木にヒットさせてしまいました。走行できなくなりレグ離脱を余儀なくされましたが、チームの皆さんが長時間にわたる修復作業を頑張ってくれたおかげで、再出走が可能になりました。修理してくれたチームの皆さんには心から感謝していますし、その想いに応えたいと強く感じました。最終日は全開でアタックすることで、貴重なデータを持ち帰ることができました」と語った。
 
 また、コメントの最後には「眞貝選手が自己最高位の2位を獲得したこともうれしいニュースでした。眞貝選手、安藤選手おめでとう!」とチームメイトのポディウムフィニッシュを祝福した。

 この他、TOYOTA GAZOO Racingの濱田賢三・眞貝車担当メカニック、石川達エンジニア、GR Garage高崎ICからメカニックとしてモントレー2022に参加した川津英人メカニックのコメントは以下のとおりだ。

●濱田賢三(眞貝号メカニック)

「昨年から眞貝選手の車両を主に担当していますので、今回の結果はとてもうれしいですね。もともとはエンジン関係の部署にいたため、エンジンまわりについては両車とも担当しています。今回のラリーでは熱の問題について改善提案し、そのデータを実戦で得ることができました」

「今回はサービススケジュールの変更や、勝田選手の車両修復作業など、普段のラリーとは異なる部分も多かったのですが、チームの先輩から学んだ予測と準備の大切さを活かして取り組み、大きな問題なく業務を達成することができました」

SS3でクラッシュを喫した勝田範彦/木村裕介組(トヨタGRヤリスGR4ラリー) 2022全日本ラリー第5戦モントレー

●石川達(エンジニア)

「普段はシャシー設計部でブレーキの設計を担当し、GRMNヤリスの開発にも携わっています。今回、ラリーチームに初めて参加しましたが、楽しくかつ真剣に競技と向き合っているメンバーの姿が非常に印象的でした」

「また、我々が開発したクルマが走る姿を見るのはとてもうれしいですし、多くのお客様に受け入れられていることに感謝しています。ラリーではサーキットよりブレーキに厳しい局面があることも分かってきました。GRヤリスはもちろん、将来の量産車にも、こうした経験をフィードバックしたいと思います」

●川津英人(GR Garage高崎IC)

「今までラリーを直接見たことはありませんでしたが、自分の糧になればと思い参加しました。勝田選手、眞貝選手の車両のリヤまわりを担当しましたが、限られた時間で何をするか、ペース配分や作業工程の組み立て方は、店舗の作業にも参考になる部分が多かったです」

「勝田選手の車両の修復作業では、チームの皆さんはすべてにおいて行動が早く、責任を持って各パートの作業を行なっていて、車両が走れるようになった時には、ホッとしました」

「また、周囲の音が大きい場合でも、声かけなどを徹底して確実・安全な作業に重点を置いていたことが印象的でした。クルマをきちんと整備して、お客様を安全に送り出す点においては、店舗でもラリーでも同じことなのだと感じました」

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