ユーモアに満ちた空間で揺さぶられる既成の価値観-。栃木県小山市、現代美術家タムラサトルさん(49)の個展「ワニがまわる タムラサトル」が15日、東京・国立新美術館で開幕する。14日のプレス内覧会で、紙粘土や発泡スチロールのカラフルなワニたちが、モーターで一斉に回るユニークで壮大な展示が公開された。
「『なぜワニが回るのか』という問いに答えはなく、『そこに在る』という訳の分からなさこそが面白さの本質」とタムラさん。「まわるワニ」は代表作の一つで、今回は約千平方メートルという同館展示室を意識し、全長約12メートルの新作1体をさまざまな大きさのワニ約1100体と組み合わせた。
同館は今年開館15周年。吉村麗(よしむられい)特定研究員は「美術や美術館になじみがない人も楽しめるのがタムラ作品の魅力。アートについて考えるきっかけにもなる奥深さもある」と解説した。
会場ではタムラさんが教官を務める宇都宮メディア・アーツ専門学校生が制作したワニも展示している。
7月18日まで。観覧無料。