「人の優しさ、文化に感銘」ウクライナ避難家族 佐世保での新生活スタート

アレク・パシコウスキーさん(右)の元へとウクライナから避難した家族=佐世保市、長崎日本語学院

 ロシアの軍事侵攻を受け、ウクライナから避難した家族4人が長崎県佐世保市南風崎町の長崎日本語学院に入学し、新生活をスタートさせた。家族は緊急アラートの音がトラウマになるなど、戦時下の恐怖におびえながらの生活を強いられていた。「安心して眠れるようになった。私たちにとって安全が一番大事です」と穏やかに心境を語る。
 入学したのは、同学院近くのハウステンボス(HTB)で活動するボーカルユニット「マキシマム」のアレク・パシコウスキーさん(36)の母親のナタリアさん(59)と姉のイーナ・サマルカさん(39)、イーナさんの息子のアレックスさん(16)、娘のアナスタシアさん(8)。同学院は外国人のための地域の日本語教育という方針で受け入れた。
 4人はウクライナの首都キーウ(キエフ)から南西約200キロにあるヴィーンヌィツャから避難。軍事侵攻では、自宅から約3キロの場所にあるテレビ局も攻撃されたという。イーナさんは「戦争が始まって一番心配なのは子どもたちへの影響。地下に逃げろとかの情報が入ってきて、胸が痛くなります。本当に怖い」と涙ながらに話した。
 4日に日本入りし、13日から同学院の寮で生活を始めた。家族は新天地での暮らしに「日本人、佐世保の人たちの優しさ、文化に感銘を受けた。これ以上の幸せはありません。これからの生活のために日本語を早くマスターしたい」。アレックスさんは「子どものころから日本で仕事をするのが夢だった。頑張って勉強します」と前を向いた。
 ウクライナでは激しい戦闘が続いており、4人は「いろんな家族、友だちが離れ離れになっている。みんなが一緒に平和に暮らせる世の中に戻ってほしい」と願いを口にした。同学院の中野はるみ校長は「外国人は言葉が壁になる。私たちが協力しなければならないと考えていた。1日も早い就業、就学を願っている」と話した。


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