参院選2022のしくみ 選挙区と比例代表、特定枠とは?わかりやすく解説!

6月22日公示、7月10日投開票の日程で第26回参議院議員通常選挙(以下、参院選)が実施されます。

近年の公職選挙法改正により、選挙のしくみに変化があることをご存じですか?
また、参院選には衆院選とは異なるしくみが採用されていますが、正しく理解できているでしょうか?

本記事では、参院選2022のしくみを詳しく解説します。参院選がはじまる前にしっかりと理解しておきましょう。

選挙方式は「選挙区」と「比例」の2種類

参院選の選挙方式には、「選挙区選挙」と「比例代表選挙」の2種類があります。今回の参院選では選挙区選挙で74、比例代表選挙で50の計124の議席が改選されるとともに、神奈川選挙区の欠員1とあわせて125議席が今回選挙されます。

選挙区選挙と比例代表選挙には、選挙区の設置方法当選者を選ぶしくみなどに大きな違いがあります。

この後わかりやすく解説していきますので、このまま読み進めてくださいね。

【選挙区選挙】選挙区や投票方法をおさらい

選挙区選挙のほとんどは都道府県単位で選挙が行われますが、2015年の公職選挙法改正により、鳥取県と島根県・徳島県と高知県はそれぞれまとめて1つの選挙区(合区)とされることになりました。

それぞれの選挙区は人口に応じて1~6の範囲で定数が決められており、全国45の選挙区から74人を選ぶことになります。

投票所に行くと投票用紙を2枚渡されます。そのうち選挙区選挙用の投票用紙には、お住まいの選挙区で立候補している「候補者名」を書きます。

政党名や比例区の候補者名を記入すると無効票となってしまうので注意しましょう。

【比例代表選挙】参院選ならではのしくみは要確認!

今回選ばれる124人のうち、50人は比例代表選挙で選ばれます。参院選の比例代表選挙ならではのしくみが採用されていますので、しっかりと確認しておきましょう。

投票用紙には「政党名」または「候補者名」のどちらかを書く

参院選で配布される2枚の投票用紙のうち、比例代表選挙用の投票用紙には「政党名」か「候補者名」のいずれかを書きます。

衆院選の比例代表選挙では「政党名」への投票しかできませんが、参院選の場合は政党名・候補者名のどちらでも投票できることになっています。

ここでいう候補者名とは、もちろん比例区で立候補している候補者の名前です。選挙区で立候補している候補者ではありませんので、注意しましょう。

候補者名で投票された場合、その候補者が属する政党の得票数としてカウントされます。政党名と候補者名の得票数を合計し、得票総数に比例した数の議席がドント方式で政党に配分されることになります。

※ドント方式とは、各政党の得票数を1、2、3…の整数で割り、その答え(商)の大きい順に定数まで議席を配分する方式です。

では、当選する候補者が誰なのかはどのように決められるのでしょうか。

候補者名の得票順で当選が決まる非拘束名簿式

参院選の比例代表選挙では、候補者名の得票順で当選が決まる「非拘束名簿式」を採用しています。そのため、政党が候補者名簿に当選順位をつけることはありません。

※ちなみに、衆院選の比例代表選挙では「拘束名簿式」が採用されています。これは、政党の得票総数に比例して配分された議席数と、政党があらかじめ決めた候補者の当選順位によって当選者が決定するしくみです。

衆院選と参院選では同じ比例代表選挙でも当選のしくみが異なりますので、理解しておく必要があるでしょう。

2019年から「特定枠」が導入されている

上記で紹介した通り、参院選の比例代表選挙は、基本的に候補者名の得票順で当選が決まります。それに加え、前回2019年の参院選からは新たに「特定枠」が導入されました。

特定枠とは、候補者名の得票数に関係なく、あらかじめ政党が決めた名簿順に当選者が決まるしくみです。「拘束名簿式」を部分的に導入した制度と言えるでしょう。特定枠の候補者は「非拘束名簿」とは切り離して上位で扱われます。

これは、2018年の公職選挙法改正によって新たに導入された制度です。全国的な支持基盤を持っているとは言えないけれども国政上有為な人、あるいは政党がその役割を果たす上で必要な人材を当選しやすくするために導入されました。

2019年の参院選で初めて導入され、自民党の三木亨氏、三浦靖氏、れいわ新選組の舩後靖彦氏、木村英子氏が特定枠で当選しました。

知名度の高いタレントや著名人も多く立候補する

参院選の比例代表選挙は、全国1ブロックで実施されます。全国から票を集められる候補者として芸能人やスポーツ選手などの有名人の候補者も多く、「タレント候補者」として毎回話題になっています。

2010年には柔道元オリンピック金メダリストの谷亮子氏、2013年には元プロレスラーのアントニオ猪木氏、2016年には元女優の三原じゅん子氏や元「SPEED」の今井絵理子氏らが立候補し、議席を得ました。

また前回の2019年の参院選では、元F1レーサーの山本左近氏や元「モーニング娘。」の市井沙耶香氏、元格闘家の須藤元気氏らが立候補したことも記憶に新しいのではないでしょうか。

しかしながら、過去には多くのタレント候補者が落選しています。有権者の目は決して甘くはないようです。

まもなく参院選を迎えます。今後、各政党の公認候補予定者の発表や立候補の表明などに注目していきましょう。

(執筆協力:Ricca

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