美観地区の商家改修、貸別荘に 倉敷、窓越しに白壁の街並み一望

美観地区にオープンした「別邸よし井」の外観

 倉敷市美観地区にある創業133年の老舗「吉井旅館」(同市本町)は、近くの商家を改修し貸別荘「別邸よし井」をオープンした。歴史風情あふれるプライベート空間に仕上げ、国内外の観光客だけでなく、旅先で楽しみながら働く「ワーケーション」での利用も呼び掛けている。

 別邸は本町通りにあり、同旅館から徒歩約2分。路面沿いの1階入り口から階段を上って直接2階に向かう構造。2階(約80平方メートル)は女将(おかみ)の永井圭子社長(65)が内装をプロデュース。改装してリビングと寝室(いずれも縁側付き)、台所、風呂を設けた。

 リビングは和室付きのメゾネットタイプ。大空間に大型テレビや飛騨家具のテーブルセットを備え、Wi―Fi(ワイファイ)環境も整えた。寝室はベッドを置き、ロッキングチェアに座れば窓越しに白壁の街並みをゆったりと一望できる。

 台所で料理もでき、酒津焼や陶芸家児島塊太郎さん=総社市=の作品を食器として使える。浴室は天井の一部がガラス張りで、自然光が降り注ぐ朝の入浴がお薦めという。

 1棟貸しで定員2~5人。素泊まりが基本だが、吉井旅館から食事を取り寄せることもできる。

 同旅館は新型コロナウイルス禍で緊急事態宣言中に休館するなど、1889年の創業以来初の長期休業を経験した。永井社長は「コロナ対策として他人と接触せず、家族や個人でゆっくり暮らすように宿泊できる空間をつくりたかった。新たな美観地区の名所にしたい」と話している。

 利用料など問い合わせは吉井旅館(086―422―0118)。

寝室はベッドを置き、窓越しに白壁の街並みが一望できる

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