最近、日本でもカラフルなカエルの目撃が相次いでいるそうです。
「ピンクのオタマジャクシが何十匹も現れた」という情報が寄せられた田んぼに向かいました。
情報をくれたのは、広島市にある田んぼの所有者 広本 明治さんです。
広本さん「あれですかね、あそこにいる4匹あそこにいる…」
変わった色のオタマジャクシを4匹発見しました。田んぼを見渡すと、様々な場所にいます。10日ほど前は何十匹もいたそうです。
広本さん「80年近いが、初めて見た(1匹だけも見たことない?)いやいや全然ない」
広さ300㎡足らずのこの水田で、一体何が起きているのでしょうか?
ひょっとすると、新種なのでしょうか…。
確かめるために、カエルに詳しい広島大学の三浦 郁夫准教授に見てもらいました。
三浦准教授「(ピンクのオタマジャクシは新種ではないのか?)新種ではないです。色素を作る遺伝子が1つ違うだけで、通常の日本アマガエルです」
新種ではなく、間違いなく「二ホンアマガエル」の幼生だそうです。
本来なら種を見分けにくいオタマジャクシですが、目が離れているという決定的な特徴からいとも簡単に断言されてしまいました。
では、なぜこんな色なのでしょうか…?
三浦准教授「突然変異で黒い色素を作れなくなったオタマジャクシですね」
三浦准教授によりますと、オタマジャクシは、突然変異で「アルビノ」になることがあります。アルビノのオタマジャクシには黒い色素がなく、体全体が白っぽく見えます。ただ、この田んぼでは、突然変異が立て続けに起こった…というわけではなさそうです。
三浦准教授「突然変異はいつ起きたかはわからないが、たまたまオタマジャクシの両親がその(アルビノの)遺伝子を持っていて、この田んぼでその両親の子どもが生まれたので、たくさん出てきた」
両親がアルビノ遺伝子を1つずつ持っている場合、子どもの25%がアルビノ体質を現すことになります。つまり1組のペアから500個の卵が生まれるとすれば125匹のオタマジャクシがアルビノとなる可能性があると三浦さんは話します。
アルビノのオタマジャクシがたくさん現れる背景には、近年の水田の減少が影響しているそうです。
三浦准教授「(アルビノ遺伝子を持つカエル同士が)出会う確率が高くなるというか、例えば水田がたくさんあるとそれなりに移動するので、確率自体はそうそうないが、他にいけなくなると出会う確率そのものが高くなるので」
もしかすると、来年も、再来年もこの田んぼでは「ピンクのオタマジャクシ」がたくさん見られるのかもしれません。