廃線「雲仙鉄道」の車内放送完成 西陵高HPに動画 3年生2人が取材

完成した雲仙鉄道の車内案内動画を紹介する(左から)戸川さんと田川さん=雲仙市役所

 昭和初期の十数年間だけ現在の長崎県雲仙市愛野町-小浜町間を走った鉄道「雲仙鉄道」(総延長17.3キロ、9駅)の「車内放送動画」を、県立西陵高(諫早市)の3年生2人が作製した。動画は9本(各約1分)で、同校ホームページ(HP)で公開されている。
 美術部の田川心桜さん(17)が映像編集、放送部の戸川知紘さん(17)がナレーションを担当。昨年4月から取り組み、今年5月に完成させた。2人で駅舎跡などを取材し、資料を基に当時に思いをはせながら作製したという。
 各駅間の動画は“沿線”の映像や資料写真、地域の紹介ナレーションなどで構成。このうち、千々石町の浜駅と千々石駅間は、千々石断層の断崖下の海岸線を列車が走っていた。動画では断崖と橘湾、雲仙岳を望む映像が流れ「美しい海の青さと山の緑のコントラストを楽しんで」とアナウンス。他に終点の肥前小浜駅からの延伸計画が中止となり、幻となった小浜湯町駅の案内も加えた。
 2人は5月30日、雲仙市役所を訪れ、金澤秀三郎市長に動画DVDを贈呈。田川さんは「映像や資料の提供など地元の人たちに手伝ってもらい完成できた」。戸川さんは「鉄道跡を巡りたいと思ってもらえればうれしい」と話した。金澤市長は「動画の活用策を考えたい」と応えた。
 雲仙鉄道を巡っては、前身の2社が1923年に愛野-千々石間を、27年に千々石-小浜間をそれぞれ開通。33年に両社が合併し雲仙鉄道が誕生したが、資金難で38年に廃線になった。

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