21日から締約国会議 被爆者 ウィーンで連日「核廃絶」訴え

核兵器禁止条約の初めての締約国会議が21日、オーストリアのウィーンで始まります。

現地入りした被爆者は連日証言をするなど核廃絶へ声を上げています。

モーツアルトやベートーベンらが暮らした音楽の都ウィーン。

多くの人が行き交う中心街ではバイオリンの音色が響いています。

山口和政記者「シンボルの大聖堂にはウクライナ国旗のイメージで戦争反対と掲げられています」

会議を前に広島で被爆した家島昌志さんと長崎で被爆した木戸季市さんが、およそ10カ国の若者を前に被爆証言をしました。

広島で被爆家島昌志さん「多少でも思いが伝えられたらという思いで話をしました。核と人類は共存できないこれに尽きる」

長崎で被爆木戸季市さん「核兵器というのは破壊以外の何も生み出さない人類を滅ぼす兵器」

ウィーン市内で開かれたICAN=核兵器廃絶国際キャンペーンの市民フォーラムが、2日間にわたって行われました。

オープニングではフィン事務局長がウクライナ情勢を受け危機感を訴えました。

ICANフィン事務局長「プーチンがウクライナに侵攻し、彼は核兵器を使用すると脅しました。私たちの活動は、これまで以上に重要で、緊急で必要とされるものになりました」

岸田総理大臣は核兵器禁止条約について「核保有国は一国も参加していない」として、会議にオブザーバー参加をしないことを明言しました。

一方でロシアのウクライナ侵攻で核抑止に依存する国が増えるとの懸念も広がる中、ドイツとノルウェーに続きNATOに加盟するオランダとベルギー、さらに条約に反対していたオーストラリアもオブザーバーとして出席するということです。

木戸季市さん「被爆国を標榜する日本国が核兵器禁止条約に背を向け締約国会議に参加しないのか」

この訴えに会場からは大勢の拍手がわきました。

木戸季市さん「(拍手は)木戸個人にじゃないんですよ。あの時に命を奪われた人たちや(核廃絶の訴えを)これまでずっとやってきた先人の恩を受けて発言している。その皆さんに対する拍手」

家島昌志さん「(核は)絶対に無くさなければいけないというみんなの応援と熱意が伝わったものだと思う」

広島で被爆し、カナダ在住のサーロー節子さんは新型コロナの影響もあり渡航を断念。

オンラインでの演説では「核抑止では戦争を防げない」と訴えました。

サーロー節子さん「ウクライナでの戦争の恐怖とトラウマを利用して核兵器による防衛が促進されることを恐れています。核抑止力が抑止できるのは軍縮だけであって戦争ではありません」

広島からもオンラインを通して現地へ声が届けられました。

川下ヒロエさん「戦争というものがこの世の中からなくなってほしいと思うんです。それを世界の人に聞いてほしいです」

母親の胎内で放射線を浴び、脳と体に障害が残る原爆小頭症の被爆者が初めて海外に発信しました。

原爆小頭症の被爆者と家族の会「きのこ会」が制作した動画も流れました。

20日はウィーンの国連で核兵器の非人道性に関する国際会議が行われます。

日本政府の代表団として派遣された木戸さんが会場でスピーチする予定です。

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